ロシア国旗
米シンクタンク「戦争研究所」は19日、ウクライナ侵略を指揮するロシア軍のスロビキン総司令官が南部ヘルソン州に関し、「容易ではない決断を排除しない」などと述べたことについて、州都ヘルソン市を含む大幅な占領地域の放棄を示唆したものだとする分析を公表した。
【写真】避難するためウクライナ南部ヘルソン州のドニエプル川にある港に集まる住民
ロシアが一方的に併合を宣言したヘルソン州では、ウクライナ軍が奪還作戦を展開。米高機動ロケット砲システム「ハイマース」を使って州内を流れるドニエプル川に架かる橋を破壊し、露軍の補給路を断った。ドニエプル川西岸に位置するヘルソン市や周辺では最大2万5千人の露軍が孤立しているとされる。
こうした中、スロビキン氏は18日、補給路の途絶で「非常に困難な状況」が起きているとし、住民や兵士の命を守るために「容易ではない決断」を行う可能性があると発言。また、同州の親露派勢力トップも19日、ヘルソン市などの住民5万~6万人を、ドニエプル川東岸地域や露国内に避難させると発表していた。
「容易ではない決断」の意味について、露国外に拠点を置く独立系メディア「メドゥーザ」は、①ヘルソン市を含むドニエプル川西岸地域からの撤退②同川西岸地域の大部分を放棄する代わりに兵力をヘルソン市に集めて死守③核兵器の使用-の3つが考えられると指摘。ただ、②は成功する保証がなく、③はロシアにも致命的なダメージを与えると指摘し、①が最も妥当な選択肢だとする見方を伝えた。