埼玉県の大野元裕知事が県内選出の国会議員らにトルコ国籍者の短期滞在の査証(ビザ)免除の一時停止を求めたことが、29日の定例記者会見で取り上げられ、記者らは「『住民に不安が広がっている』という根拠は」「統計はあるのか」などと計30分以上にわたり質問。大野氏は「統計はないが、治安に関する不安が住民から寄せられている。県としては不安解消のため免除停止を求めている」などと説明した。
【画像】「地域住民の人権は無視ですか?」急拡散された地元女性が作成した画像
■「なぜトルコなのか」
会見では、記者らが「なぜこの時期なのか」「『日本人ファースト』を掲げた参政党が躍進したためか」と質問した。大野氏は、5月21日の関東地方知事会で外国人問題について国への要望をまとめた際、自身の提案で「ビザ免除停止も検討」の一文を入れたと説明。その際は特定の国を名指ししたものではなかったが、県によると6月25日に同知事会として外務省へ要望したという。
大野氏は「今回の要望もこれまでと同様に行ったもので、政治的な話とは全く関係ない」と述べた。
また、「なぜトルコなのか」と問われた大野氏は、昨年の難民認定申請の統計で、複数回申請も難民不認定も仮放免もすべてトルコ国籍者が突出しているとのデータを挙げ、「トルコとの間で難民申請者について課題があるという統計がある。他の国と同様にビザを取ってもらうだけで、トルコ国籍者を排除するわけではない」「難民申請を繰り返して在留管理の出口がコントロールできないなら、ビザという入り口のところで選別してほしい」などと強調した。
■統計なくても不安は事実
一方、記者らは「『住民に不安が広がっている』というが、ぼんやりした印象だ」「犯罪統計の国籍別摘発人数ではトルコは上から6番目だ。どういう理屈でトルコなのか」などと質問。
大野氏は「個別の事件などで住民から県にも声が寄せられており、犯罪が増えたといった統計はなくても不安が広がって、継続していることは事実として受け止めている」「難民申請を繰り返して就職もできず、結果として地域の不安要素になっている状況は、決してよいことではない」などと説明したが、記者らは「根拠の部分が腑に落ちない」などと繰り返していた。
大野氏は、「トルコ国籍者とはクルド人を想定しているのか」との質問には「クルド人かどうかは統計が存在しないのでよくわからないが、難民申請を繰り返しているのがトルコ国籍者だからだ」と回答。