イランがアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習、焦点はザンゲズール回廊

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アゼルバイジャンとアルメニアは「領土の相互承認」が含まれる和平条約の実務的作業に入ることで合意したが、ザンゲズール回廊の設置に反対するイランは大規模な軍事演習を開始、アルメニア国境の変更を強行すれば力ずくで阻止するつもりなのだろう。

イランがザンゲズール回廊の設置を阻止するための政治的なオプションは今のところ見当たらないが、、、

ナゴルノ・カラバフ紛争の停戦協定にはアルメニアとナゴルノ・カラバフを結ぶ「ラチンを経由しない新ルートの建設と提供」が盛り込まれており、この新しい回廊には検問が設置されないためアルメニアとナゴルノ・カラバフ間の自由な往来が保障されているのだが、この停戦協定にはザンゲズール回廊の設置も盛り込まれている。

イランがアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習、焦点はザンゲズール回廊

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)

ザンゲズール回廊とはアゼルバイジャン本領と飛び地のナヒチェヴァン自治共和国を結ぶ道路や鉄道のことを指しており、この回廊も検問が設置されないためアゼルバイジャンとトルコはナヒチェヴァン経由で自由に往来が可能になる上、国境に沿って回廊が設置されるとアルメニアとイランの交通が分断される=恐らく回廊の管理権限がアゼルバイジャンに与えられるため「ザンゲズール回廊の設置はアルメニア国境の変更だ」とイランは主張。

イランの最高指導者ハメネイ師も「ザンゲズール回廊が設置されると非友好国のトルコとアゼルバイジャンに囲まれる」と難色を示したため、アルメニアは停戦協定で義務付けられた回廊設置を半ば放棄、停戦協定の履行を保証したロシアも何の措置も講じないため「自力でナヒチェヴァン自治共和国までの道を確保する」とアゼルバイジャンは公言していたが、両国は「領土の相互承認」が含まれる和平条約の締結に向けて動きだしたためザンゲズール回廊の設置が現実味を帯びてきた。

イランがアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習、焦点はザンゲズール回廊

出典:Tasnim News Agency/CC BY 4.0

これに危機感を募らせるイランは国境沿いに機械化部隊を展開させていたが今月17日に大規模な軍事演習を開始、アゼルバイジャンとイランの国境として機能するアラス川の渡河が演習メニューに含まれているため、アルメニア国境の変更を強行すれば「力ずくで阻止する」という政治的なメッセージが込められているのだろう。

ただザンゲズール回廊の設置に応じなければアルメニアはナゴルノ・カラバフとのアクセスを失う上、和平協定で「領土の相互承認」と「国境策定」を実現しない限りアゼルバイジャンとの武力紛争とトルコの国境封鎖は半永久的に続き、ロシアから米国に安全保障の後ろ盾を変更するには「現在進行中の紛争」を法的に解決しなければならない事情があるので、イランがザンゲズール回廊を阻止するための政治的なオプションは今のところ見当たらない。

イランがアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習、焦点はザンゲズール回廊

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

もしイランがザンゲズール回廊の設置を阻止するなら軍事的なオプションしかなく、そういった意味でアラス川の渡河訓練は非常に不気味だが、非合法な手段として有り得そうなのは和平協定の締結を進めるパシニャン首相を引きずり下ろすことで、和平協定の締結に反対するアルメニア勢力とイランが手を組んでも不思議ではない。

因みにパシニャン首相は「私のことを裏切り者だと国民は罵るかもしれない内容の文書に署名することを考えている。恐らく国民は私を権力の座から引きずり降ろそうとするかもしれないが、29,800km²の国土でアルメニア国民が永続的な平和と安全を享受できなら自分がどうなろうと知ったことではない」と述べている。

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※アイキャッチ画像の出典:Reza Dehshiri/CC BY 4.0

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