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ロシア軍の攻撃で被害を受けた電力線を修理する電気工(21日、ウクライナのハルキウ地方で)=ロイター
(写真:読売新聞)
【ワルシャワ=上地洋実】ウクライナの大統領府副長官によると、ロシア軍が22日、国内各地に30発以上のミサイルを発射し、半数近くがエネルギー施設などに着弾した。西部フメリニツキー州や南部ミコライウ州など7州で計約145万世帯が停電した。ウクライナのエネルギー相は21日、ロイター通信に今月10日以降、ウクライナは火力発電能力の少なくとも半分を喪失したと明らかにした。
一方、米政策研究機関「戦争研究所」は21日、ロシアが一方的に併合した南部ヘルソン州のドニプロ川西岸から軍部隊を撤退させ、東岸に移し始めたとの分析を明らかにした。露側「州政府」は22日、西岸にある州都ヘルソンの住民に即刻避難を指示し、避難対象地域を拡大した。露軍が住民を「人間の盾」にしているとの指摘もあり、撤退を加速させる可能性がある。
21日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ軍の反転攻勢の好機は「向こう6週間」と指摘する一方、露軍は冬場に部隊を再建し、劣勢挽回を狙っているとの米当局者の分析を伝えた。約6週間後に「ぬかるみ期」(ラスプーチツァ)が本格化し、戦況がこう着状態に転じて来年2月頃まで続く可能性を指摘した。露軍は4~5か月かけ、消耗した部隊や装備の立て直しに入るとの見方も示した。