解体先のトルコに向け出港した空母サン・パウロがブラジルに帰郷

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今年8月に空母サン・パウロは解体処分先のトルコに向けてリオデジャネイロから出港、これが同艦にとって最後の航海になるはずだったのだが、、、再びブラジルに戻ってきてしまった。

スクラップとして売却されるサン・パウロの話だけで記事を5回も書けるとは思っても見なかった

ブラジル海軍は1990年代に空母「ミナス・ジェライス」の後継艦として仏空母「フォッシュ」を購入、修理や改造を施して2001年に空母「サン・パウロ」としてブラジル海軍に編入したが購入時点でフォッシュの艦齢は37年に達しており、蒸気式カタパルト(英国製ミッチェル・ブラウンBS5型)の能力不足や老朽化からくるメンテナンス性の悪さで、ブラジル海軍がサン・パウロをまともに運用できたのは2004年までの3年間に過ぎない。

解体先のトルコに向け出港した空母サン・パウロがブラジルに帰郷

出典:Ricardo Stuckert/Presidência da República/CC BY 3.0 br

2005年の火災事故(機関の蒸気系統)を受けてブラジル海軍はサン・パウロや搭載機の大規改修を決定、改修作業を終えたサン・パウロは試験を経て2013年後半に運用が再開されるはずだったのだが2012年に再び火災が発生、これを修復するのは多額の資金が必要なため2018年に同艦の退役を決定した。

ブラジル国防省は入札を実施して2019年末までにサン・パウロ解体先を決定すると発表していたが、同艦には大量のアスベストと重金属が使用されており、フランスとブラジルが締結した契約には「空母解体は環境に悪影響を与えない」という条項が含まれていたため、入札結果は二転三転して最終的にトルコ企業が1,055万レアル(約2億円)で落札。

今年8月にタグボートに曳航されリオデジャネイロを出港したサン・パウロはモロッコ沿岸を目指し大西洋を横断、ジブラルタル経由でトルコ西部のイズミルにある造船所に向かっていたのだが「ブラジル当局が提出した報告書記載の有害物質(艦内に残存するアスベストの量が9.6トン)が少なすぎる=姉妹艦クレマンソーの解体で回収されたアスベストの量は760トン」と問題になり、トルコ政府は8月末にサン・パウロの接岸拒否を発表。

解体先のトルコに向け出港した空母サン・パウロがブラジルに帰郷

出典:Public Domain

サン・パウロは受け入れ先を失ったためスアペ港(ブラジル・ペルナンブーコ州)に戻ることになったのだが、今度は同艦が係留状態で放置されることを危惧したペルナンブーコ州当局がスアペ港接岸を拒否、ブラジル国防省は同艦の受け入れを探したものの他の州も難色を示したため、行き場を無くしてしまったサン・パウロはペルナンブーコ州の沖合を3週間も漂流中らしい。

政府の指示で漂流するサン・パウロを調査したSalvage Master社は「環境の影響による劣化や構造上の損傷が見られるため直ぐにでも港に戻した方がいい」と警告しているが、バルセロナ条約に基づき正確な有害物質の残量を提示して合法的な売却先を再選定するのに時間がかかるは目に見えており、有害物質の除去作業に費用がかかると「くず鉄の売却益」で解体費用をカバーするのが困難=サン・パウロの解体費用を予算計上しなければならなくなる。

つまり同艦が係留状態で長期間放置されることを危惧するペルナンブーコ州を安心させるためには「政府や軍が今後スケジュールを提示して保証する必要がある」という意味だ。

解体先のトルコに向け出港した空母サン・パウロがブラジルに帰郷

出典:Eric Gaba/CC BY-SA 3.0

ブラジル海軍は「タグボートに曳航されリオデジャネイロを出港したサン・パウロ」を見てホッとしていたかもしれないが、数奇な運命に取り憑かれたサン・パウロの解体は完全に振り出しに戻ってしまい、管理人もスクラップとして売却されるサン・パウロの話だけで記事を5回も書けるとは思っても見なかった。

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※アイキャッチ画像の出典:Rob Schleiffert/CC BY-SA 2.0

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