ロシアのプーチン大統領は27日、講演会で3時間半余りにわたって西側批判を展開し、世界情勢における欧米の支配は終わりを迎えつつあるとした。提供画像(2022年 ロイター)
[ロンドン/モスクワ/米大統領専用機上/ワシントン 27日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は27日、講演会で3時間半余りにわたって西側批判を展開し、世界情勢における欧米の支配は終わりを迎えつつあるとした。また、ウクライナ戦争に後悔はないとし、「特別軍事作戦」は依然として目的を達成しつつあると述べた。
プーチン氏は、ロシア専門家との会合「バルダイ・ディスカッション・クラブ」の質疑応答に、自信に満ちリラックスした様子で応対。以前に健康状態について質問を受けた時に見せた、堅く不安気な様子とは対照的だった。
この1年で何か失望したことはあったかとの質問に対し、プーチン氏は「ない」とだけ答えたが、ウクライナでの損失は常に念頭にあるとも述べた。
冒頭の45分間の演説では、ウクライナについてほとんど触れず、代わりに「西側の敵」に対する従来からの批判を繰り返した。
世界は第二次世界大戦以来、最も危険な10年に直面していると述べ、衰退している西側諸国がロシアに対して核による脅迫を行っているとした。
しかしその後、ウクライナ戦争に直接話が及ぶ段になっても、ここ数カ月のロシア軍の撤退や部分動員令については全く触れなかった。司会者が計画通り進んでいるのかという国民の懸念に遠回しに言及した際には、その目的は変わっていないと答えた。
その上でプーチン氏は、ロシアがウクライナに軍事的に介入していなければ、ドンバス地方は単独で存続できなかったとの考えを示し、ロシアによるウクライナ東部・南部4州の「併合」を擁護した。
英国のクレバリー外相はこれに対し「今日のプーチン氏のメッセージは、不明確で真実味がなく、見るべきものもない。われわれのメッセージははっきりしている。隣国を平気で侵略してはならないということだ」とした。
米ホワイトハウスのジャンピエール報道官も記者会見で、プーチン氏の発言に目新しい点はなく、戦略的目標の変化を示唆するものではないとの認識を示した。
<核兵器めぐる緊張>
プーチン氏はトラス前英首相が状況次第では英国の核抑止力を行使する用意があると発言したことを引き合いに出し、核の緊張をあおったのは西側諸国だと主張。さらに、放射性物質をまき散らすことを目的とした「汚い爆弾」をウクライナが使用する可能性があるとの見解を改めて示した上で、ウクライナ側はこのようなロシアの見解はロシア自身が「汚い爆弾」を使用する計画があることを意味すると主張しているが、それは誤りだと強調した。
ロシアは今週、核戦力運用部隊による定例の大規模演習を実施している。これについて米国のオースティン国防長官は27日、現時点では、実際の配備のための偽装である可能性を示すものはないと述べた。