装備は自腹、訓練不足で前線へ… ロシア動員の混乱嘆く家族


装備は自腹、訓練不足で前線へ… ロシア動員の混乱嘆く家族

ロシアの首都モスクワのバス停に掲示された、軍人の画像に「ロシアの英雄に栄光あれ」とのスローガンが添えられたポスター(2022年10月24日撮影、資料写真)。【翻訳編集】 AFPBB News

【写真】戦場に向かう予備兵、涙の見送り ロシア

 タチアナさんのおいは先月初旬、首都モスクワの北西にあるクラスノゴルスク(Krasnogorsk)で招集された。動員に際して必要なものは、衣料品から救急用品まですべて家族が自費で購入しなければならなかったという。

 報復を恐れて姓を伏せることを条件にAFPの取材に応じたタチアナさんは「制服、防寒下着、薬、食料など、すべて自分たちで買わなければならなかった」と憤る。「(動員兵が)到着しても誰も待っておらず、何も準備されていなかった」。当局者も突然の動員令に不意を突かれた様子だったという。

 モスクワの北東20キロに位置するイワンテエフカ(Ivanteyevka)に住むウクライナ出身の美容師アンナさん(51)は、義理の息子が動員されたことに今もショックを受けている。「親戚がドニプロ(Dnipro)で爆撃されているのに、義理の息子は私たちの生まれ故郷で人を殺しに行かなければならない」と涙ながらに語った。

 本人は戦争に反対していたが、「前線に行くか刑務所に入るか」以外に選択肢はなかったという。義理の息子は防弾チョッキや制服、防寒着、ブーツなどを買うのに、ロシアで最低賃金として定められている月給の7倍に当たる10万ルーブル(約23万円)近くを費やした。

 ソーシャルメディア上では、新兵が使う基本的な装備の購入資金を募る投稿が拡散している。

■訓練不足のまま前線へ

 動員をめぐる問題の深刻さは、政府支持派のジャーナリストでさえ警鐘を鳴らすほどだ。

 複数の記者がソーシャルメディアへの投稿で、モスクワとその周辺地域から招集された新兵たちがまともな訓練も受けずにウクライナの前線に送り込まれたと指摘している。新兵が配属された第27自動車化狙撃旅団では、多数の死者が出た。

 死者の中には、オーストリアのライファイゼン銀行(Raiffeisen Bank)ロシア支社でIT技術者として勤務していたチムール・イズマイロフさん(33)もいた。

 イズマイロフさんは本来なら兵役を免除されるはずだったが、9月23日に招集された。代理人弁護士のコンスタンチン・エロヒンさんがメッセージアプリのテレグラム(Telegram)への投稿で明らかにしたところによると、イズマイロフさんは10月7日に戦線に送られ、13日に迫撃砲による攻撃を受けて死亡。前線に送られたのは、中央銀行が作成した動員免除対象の銀行員名簿が軍司令部に届くのが間に合わなかったからだとされる。【翻訳編集】 AFPBB News



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