【ジュネーブ=森井雄一】ロシア軍が、撤退を表明したウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソンで10日、テレビ局や電力施設を爆破したとロイター通信が報じた。焦土作戦によりウクライナ軍の進軍を遅らせる狙いとみられる。
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は10日、露軍がアパートや下水道などあらゆるものを破壊しているとツイッターで批判し、「露軍はヘルソンを死の街にすることを望んでいる」と訴えた。携帯電話の施設も壊され、通信状況が悪化しているという。
英国防省は、露軍が撤退の際に複数の橋を破壊し、地雷を仕掛け、ウクライナ軍の進軍を遅らせたと分析した。
露軍は、数万人の兵士を州都一帯に配置していたとされる。ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相は10日、「これらの部隊が1日や2日で撤退するのは簡単ではない」とロイター通信のインタビューで述べ、露軍がドニプロ川西岸地域から撤退するには少なくとも1週間かかるとの見通しを示した。