
自由を求める象徴となっている白い紙を掲げ、抗議活動をする市民=北京市中心部で2022年11月27日午後11時35分、米村耕一撮影
新型コロナウイルスの徹底的な封じ込めを図る中国政府の「ゼロコロナ」政策に反発する抗議活動が中国全土で広がっている。デモは首都・北京の中心部にも飛び火し、27日深夜から28日未明にかけて200人以上の市民が表現の自由の象徴となっている白い紙を持ち「自由をくれ」とスローガンを叫んだ。
【写真特集】白い紙を掲げ抗議する市民たち
抗議活動があったのは北京市中心部の各国大使館が建ち並ぶ区域。参加者は当初、花束やろうそくを持ち寄って新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた大規模火災の犠牲者を追悼した。その後、川沿いの散策路でスローガンを叫びながら大通りへと移動。白い紙を持って「私たちには今、自由がない」「PCR検査はいらない、自由が欲しい」などと叫んだ。
周囲を警官らが取り囲み、一部で通行を制限する場面もあった。だが28日午前0時半現在、市民を強制的に排除するような動きには出ていない。
抗議活動はインターネットを通じて幅広い市民に伝わっている模様だ。情報を聞いて集まったとみられる市民にデモ参加者がカバンから白い紙の束を取り出すと、喜んで受け取って列に加わっていた。
デモがあったのは車や人の通行が多い地域で、白い紙を見て抗議の輪に加わる人や、クラクションを長く鳴らして共感を示すドライバーも少なくなかった。「反ゼロコロナ」への共感は広がっているようだ。
全土で抗議活動が広がるきっかけになったのは、ウルムチ市で今月24日に10人が死亡した火災。厳格なコロナ対策が影響して被害が拡大したとみられている。インターネット上に投稿されたデモの動画では、習近平国家主席の退陣を求める市民の様子も流れている。【北京・米村耕一、岡崎英遠】