元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が、自身のX(旧ツイッター)上で日本保守党の百田尚樹代表に対し、公人の自覚を問う激しい言葉を投げかけ、政治家のSNSでの発言姿勢を巡る論争が深まっています。この論戦は、日本保守党の北村晴男参議院議員による石破茂氏への度重なる投稿が発端となり、SNS上での誹謗中傷と公人の責任について大きな波紋を広げています。
日本保守党・北村議員の石破氏への「奇妙な生き物」発言が発端
今回の論争の引き金となったのは、日本保守党の北村晴男参議院議員が今月23日以降、石破茂氏に関する投稿に対し、「『奇妙な生き物』ですね」と繰り返しリプライを送ったことです。北村議員はその後も連日、「彼は『奇妙な生き物』。気味が悪い」「醜く奇妙な生き物」「醜く奇妙な生き物を国のリーダーに選んだ日本」「どこまでも醜い、奇妙な生き物」などと投稿を続け、28日までに合計21回にわたり同じ表現で石破氏を批判していました。この執拗な表現が、多くの注目を集めることとなりました。
橋下氏、SNSでの「誹謗中傷」と「公人の自覚欠如」を厳しく指摘
この北村議員の一連の投稿に対し、橋下徹氏は28日午前、自身のXを更新し「日本保守党の連中は誹謗中傷が酷すぎる」「発言の仕方を一から勉強しろ」と厳しく苦言を呈しました。さらに同日夜には、「莫大な税金で飯を食い、権力を扱うという公人の自覚のないまま、コメンテーター気分が抜けないバカな国会議員が誕生したということ」と、国会議員としての職責を忘れ、単なるコメントに終始する姿勢を痛烈に批判しました。橋下氏は、公職にある者がSNSで放つ言葉の重みと責任を強く問い質しました。
元大阪府知事・弁護士の橋下徹氏
百田氏が反論「普通の読解力があれば理解できる」-「リテラシー低下」に言及
これに対し、日本保守党の百田尚樹代表は29日、橋下氏の批判に真っ向から反論しました。百田氏は、北村議員の「『醜く奇妙な生き物』というのは石破の容姿のことでなく、彼の生き方や政治姿勢のことを言ってる」と説明。その上で、「こんなことは普通の読解力があればすぐに理解できることだが、橋下には無理なんだろうな。同じく脊髄反射的に北村議員を非難する連中を見ると、マジで日本人のリテラシーの低下に絶望的な気分になる」と述べ、橋下氏や批判する人々を「読解力の低い者」「リテラシーが低下した日本人」と揶揄し、自身の発言の正当性を主張しました。
橋下氏が再度応戦「左派や親中派からの納税で飯を食っている」と徹底追及
百田氏の反論を受け、橋下氏は同日中に再びXを更新し、さらに強い言葉で応戦しました。「日本保守党のお前らは、お前らが左派だ、親中派だと誹謗中傷しまくっている人々からの納税でも飯を食っとるんや。これまでのコメンテーターと違うことを自覚しろ」と投稿。橋下氏は、国会議員が特定の思想を持つ納税者から得た税金で生活しているにも関わらず、その納税者をも誹謗中傷する姿勢は公人としてあるまじき行為であると指摘。政治家がSNSで発信する内容と、その背後にある国民全体の税金によって支えられているという事実を改めて認識すべきだと、厳しく求めました。
今回の橋下氏と百田氏の激しい応酬は、SNSが政治家にとって重要な発信ツールとなる中で、その言動が持つ責任と、公人としての自覚が改めて問われる問題提起となっています。政治家によるSNS利用のあり方、そして誹謗中傷に対する社会的リテラシーの向上が、今後の重要な課題として浮上しています。