
ウクライナ国旗
ロシアによるウクライナ侵略で、東部ドネツク州の要衝都市バフムトを巡る攻防が激化している。ウクライナ部隊の将校は10月29日、バフムト方面が「現在の最激戦地」と指摘する一方、ドネツク州の親露派武装勢力トップは28日、「バフムトの包囲が近い」と主張した。米シンクタンク「戦争研究所」は、露軍の一定の前進がみられるものの、露軍が同市の包囲に成功する保証はないと分析している。
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バフムト方面は幹線道路が交差し、過去数カ月間にわたってウクライナ軍と同市への前進を図る露軍の戦闘が続いてきた。
東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)全域の制圧を主目標とする露軍は、7月にルガンスク州全域の制圧を宣言した後、バフムト方面への攻勢を強化。露軍は同市を制圧した上で、ドネツク州の中心都市クラマトルスクやスラビャンスクへの進出ルートの確保を図っているとみられている。
ウクライナ内務省系部隊「国家親衛隊」の将校、イリエンコ氏は29日、バフムト方面は露軍の激しい攻撃を受けており、最激戦地だと指摘。ただ、同市は「難攻不落の要塞だ」として陥落の恐れを否定した。ウクライナメディアが伝えた。
一方、ロシアが一方的に併合を宣言したドネツク州の主要部を実効支配する親露派武装勢力「ドネツク人民共和国」のプシリン「首長代行」は28日、「露軍はバフムト方面で前進に成功した」とし、同市の包囲が迫っていると述べた。
戦争研究所は28日付の戦況リポートで、露軍がバフムト南西15キロの集落を占領したとみられるほか、周辺の複数の集落を制圧したとの情報もあると指摘。ただ、「ウクライナ軍の補給路は脅かされておらず、バフムトの包囲は差し迫っていない」と分析した。