米価高騰対策の転換点:小泉・鈴木両農水相の方針と市場の行方

米価が高止まりする中、小泉進次郎前農水相による備蓄米放出策が注目を集めた。しかし、新政権発足に伴い、鈴木憲和新農水相が就任。前任者とは異なる市場原理を重視する方針を打ち出し、米価対策の大きな転換点となっている。本稿では、この政策変更の詳細と、今後の米価動向への影響について深掘りする。

「小泉米」の登場と備蓄米放出の限界

農水省のデータによれば、10月13日から19日に全国のスーパー約1000店舗で販売されたコメの平均価格は5キロあたり4251円に達し、7週連続で4000円台の高値を維持している。このような状況下で、5月に農水相に就任した小泉進次郎氏は、「スピード感をもって対応したい」と表明。政府の備蓄米を随意契約で小売業者に払い下げ、5キロあたり2000円前後での店頭販売を実現させ、「小泉米」と称された。

しかし、その後も米価は3500円台までしか下落せず、新米が出始めても高値が続いた。さらに、備蓄米の販売期限が延長されるなど、流通面での課題も露呈。9月末時点でも約7万トンの備蓄米が小売業者への引き渡しを終えていない状況が明らかになった。

小泉進次郎前農水相、米価高騰対策を指揮する姿小泉進次郎前農水相、米価高騰対策を指揮する姿

新政権下での政策転換:鈴木農水相の「市場重視」

10月21日に発足した高市内閣では、鈴木憲和前復興副大臣が新たな農水相に就任し、小泉氏は防衛相へ配置換えとなった。鈴木新農水相は就任会見で、米価について「価格はマーケットの中で決まるべきものだ」と述べ、政府が直接関与することに否定的な姿勢を示した。

また、小泉前農水相が進めた備蓄米放出についても、「量が足りない時に出し、足りていれば出さないのが基本」と原則論を強調。さらに、小泉氏が設置した「コメ対策チーム」についても、年内に解散する見通しを語り、前任者からの政策転換を明確に打ち出した。鈴木大臣は2012年に農水省を退職後、父方の故郷である山形県から出馬し初当選。米どころを地盤とし、「TPP交渉参加反対」を掲げた経緯や、自身も水田のオーナーであることから、農業現場の視点を重視する姿勢がうかがえる。趣味に「美味しいお米探し」を挙げるなど、米に対する深い関心も持ち合わせている。

結論

小泉進次郎前農水相の緊急的な備蓄米放出策から、鈴木憲和新農水相による市場原理を尊重する方針へと、日本の米価対策は大きく転換した。この政策変更は、依然として高値で推移するコメ市場に新たな影響を与えることは必至であり、消費者や生産者、そして日本経済全体にとっても、今後の動向が注視される。

参考文献

  • Yahoo!ニュース (2025年11月7日): 米価高騰で政策転換、小泉進次郎氏から鈴木憲和氏へ。新政権の「コメ対策」は市場原理に委ねる?