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(写真:読売新聞)
ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで、破壊されたロシア軍の戦車のそばを歩く女性(4月3日)=AP
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)は、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵略に関する報告書を公表し、ロシアのプーチン政権が当初、「ウクライナを10日間で掌握し、8月までに併合する計画だった」との分析を明らかにした。ウクライナは米欧から、露軍が首都キーウの攻略を狙っていると警告を受けたが重視せず、露軍の進軍を許したとも指摘した。
【表】一目でわかる…ロシアの戦力はウクライナを圧倒している
報告書は11月30日付で、ウクライナ軍からの聞き取りも踏まえて作成された。RUSIは、露軍の侵略の目的はウクライナの「征服」にあるとし、「スピード」最重視の作戦で、キーウにある最高会議(議会)や中央銀行などを奇襲で占拠し、ウクライナのゼレンスキー政権指導部を排除する計画だったと分析した。
キーウ北方に展開した露軍の戦力はウクライナ軍の「12倍」だったが、秘密保持を徹底したため、部隊に作戦の内容などが伝わらず、首都攻略の失敗につながったとの見方も示した。演習名目で国境付近に集結させた露軍部隊に、侵略作戦の実施が伝わったのは「24時間前」だったという。
一方、ウクライナ側のミスとして、ウクライナの情報機関が東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)が主戦場になるとの予測に固執していたことも指摘した。露軍はウクライナの北隣にあるベラルーシに部隊を集結させたが、ウクライナ軍は「おとり」と考え、キーウ北方への部隊配置を指示したのは侵略開始の「7時間前」だった。