ロシアのプーチン大統領
ロシアのプーチン大統領は9日、中央アジア・キルギスの首都ビシュケクで開かれたユーラシア経済連合(EAEU)首脳会議に出席し、EAEUが「世界市場の激動と好ましくない政治情勢の中でも一貫して発展してきた」と述べ、結束を強調した。プーチン氏は同日、モスクワでの独立国家共同体(CIS)と上海協力機構(SCO)の合同国防相会合にもビデオ声明を寄せ、両組織の協力を深めるべきだと訴えた。
【写真】ウクライナ軍の攻撃で破壊されたとするロシア軍陣地
ウクライナ侵略では、ロシアは「勢力圏」とみなす旧ソ連諸国の多くや友好国とする中国やインドからも支持を得られていない。プーチン氏が旧ソ連諸国で構成されるEAEUやCIS、中露主導のSCOに結束を呼び掛けた背景には、ロシアの求心力低下への焦りがあるとみられる。
プーチン氏はEAEU首脳会議で、ロシアなどが供給しているEAEU圏内の天然ガス価格が、欧州連合(EU)圏内のガス価格の10分の1以下だと指摘。失業率も「EAEUはEUの7分の1だ」と主張し、EAEUを主導するロシアの貢献をアピールした。
首脳会議にはロシアとベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニアのEAEA加盟全5カ国の首脳が出席した。
一方、プーチン氏はCISとSCOの合同国防相会合へのビデオ声明で、非米欧諸国の成長により世界に「真に多極的な世界秩序」が形成されつつあると主張。米欧がその流れに逆らい、世界の一極支配を続けようとしていることが世界の不安定化の要因だとする従来の持説を披露した。
プーチン氏はウクライナ情勢も同様の文脈上にあるとし、「米欧がウクライナを従属させようとした結果だ」と侵略を正当化。その上で、非欧米諸国の集まりと位置付けるCISとSCOの連携強化を訴えた。