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豪州は日本の潜水艦を採用すべきだったという記事があり、アタック級潜水艦のキャンセルや原潜導入の過程を安全保障や防衛産業に詳しくない人向けに書いたのかもしれないが、中々危険な香りがする内容だ。

この記事は「やっぱり日本の潜水艦を素直に買っていれば良かったんだ」という勘違いを生む可能性がある

豪州は日本の潜水艦を採用すべきだったという記事があり、アタック級潜水艦のコスト高騰や納期遅延に直面した豪州国内や米海軍関係者などの中からは「日本製潜水艦を採用すべきであった」という声があって、米英は攻撃型原潜を豪州に供給することで「世紀の武器取引=豪州の潜水艦建造計画」をフランスから奪ったが、この原潜導入計画もコストと納期でアタック級潜水艦と大差ないものなってしまい、豪州国内や米海軍関係者から後悔と批判の声が再浮上しているらしい。

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出典:Royal Australian Navy アタック級潜水艦の完成イメージ

記事の中で「日本ならばフランスやアメリカやイギリスのように臆面もなく提示した価格の数倍をふっかけてくることなどありえず、自腹を切ってでも提示価格で建造するであろう」「日本ならば提示した建造スケジュールを万難を排しても厳守しようとするはずだ。もし日本の潜水艦を採用していたならば遅くとも2030年頃からは豪海軍に新鋭潜水艦が配備され始め、2040年頃には12隻態勢が整ったことは間違いない」という声を紹介しているが、アタック級潜水艦に関する情報を現地紙やディフェンスニュース経由で追いかけてきた管理人の認識とは随分かけ離れている。

まず豪メディアのIndependent Australiaによれば「アタック級潜水艦の問題は仏側に原因があるのではなく、当時のターンブル政権が潜水艦建造の大部分を南オーストラリア州で行い大規模な新規雇用を約束したため=つまり選挙で保守連合が票を獲得するための政治色が濃い決定でコストや能力については二の次だった。保守連合が期待した『契約額の60%以上を豪州に再投資する』という話も潜水艦生産協定を締結した2018年時に決着がついていなかった」と指摘。

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出典:海上自衛隊 そうりゅう型潜水艦 うんりゅう

管理人は素人なので米海軍関係者にコネクションはないが、アタック級潜水艦に関する情報を追いかけてきた範囲で言えば「日本製潜水艦を採用すべきであった」という声を見たことがない=つまり「そうりゅう型潜水艦」が採用されていたとしてもターンブル政権が選挙に利用する事実に変わりないため、日本もフランスと同じように「コスト高騰や引き渡し時期が遅れる問題に直面した可能性が高い」と解釈するのが妥当だろう。

さらに「米英が攻撃型原潜を豪州に供給することで世紀の武器取引をフランスから奪った」という指摘も欧米の報道と異なっており、NYT紙は「中国に対抗する新戦略をバイデン政権が英豪に提示したころ、豪州ではアタック級潜水艦の性能に対する信頼が完全に失われており、モリソン首相は南シナ海で行動する十分な性能を備えた原潜導入を米英に相談(2021年3月頃)、3ヶ国の首脳は豪原潜導入を支援する枠組みについての話し合いをスタートさせた」と報じている。

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出典:The White House / Public Domain

ここで問題になったのは米英豪の利害一致から外れることになるフランスをどう取り扱うかで、契約破棄の通告はタイミングを見てオーストラリアが行うことになっていたらしいが、モリソン首相はアタック級潜水艦のキャンセルを「我々は潜水艦に求める『戦略上の要求(南シナ海で行動する十分な性能を指している)』を変更する可能性がある」と微妙な言い回しでマクロン大統領に通告、この不誠実な伝え方でモリソン首相は「契約破棄に関する事前通告は行った」と認識したが、当然真意が伝わっていなかったためフランスはAUKUS発表に激怒することになったのだ。

要するに原潜導入は米英ではなく豪州から持ちかけた話で、米英が世紀の武器取引をフランスから奪ったのではなく「豪州が自ら望んで契約を切った」と解釈すべきだろう。

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出典:LA(phot) Mez Merrill/MOD

ただ記事中で最もセンセーショナルなのは「原潜導入計画もコストと納期でアタック級潜水艦と大差ないものなってしまった」「日本ならば仏米英のように臆面もなく提示した価格の数倍をふっかけてくることなどありえず、自腹を切ってでも提示価格で建造するであろう」「日本ならば提示した建造スケジュールを万難を排しても厳守しようとするはずだ。もし日本の潜水艦を採用していたならば遅くとも2030年頃からは豪海軍に新鋭潜水艦が配備され始め、2040年頃には12隻態勢が整ったことは間違いない」という下りかもしれない。

原潜の導入コストはAUKUS発表直後「原潜導入コストが1,000豪億ドル/約7.9兆円を超える出費になることを政府は覚悟している」と現地メディアが報じており、米英の原潜建造能力に余裕がないことやリースや売却可能な余剰艦がないこともAUKUS発表直後に散々メディアが報じて導入までに時間がかかることを指摘し、既にコリンズ級潜水艦と原潜導入までのギャップを埋める方法に焦点が移っている。

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出典:Public domain コリンズ級潜水艦

さらに現地建造において経験が豊富なフランスでさえ手こずった案件を「経験のない日本が万難を排しても厳守するだろう」というのは大風呂敷に近く、建造に関わる技術者の育成、建造に必要な部品を供給するサプライチェーンの組織、豪海軍の要件に沿った設計変更、米原潜と同じ戦闘システムや魚雷発射管の統合手続き、契約額の60%以上(ライフサイクルコストの総額で言えば11兆円以上)というハードルの高い再投資計画の立案など、どれも日本の防衛産業界が経験したことがないものばかりだ。

日本なら遅くとも2030年頃から引き渡せるとも書いているが、そもそもアタック級潜水艦の1番艦も2035年の引き渡しだったのでココまで来ると大きな差はなく、なぜ今頃になって「日本の潜水艦を採用すべきだった」という日本人に受けそうな内容の記事を書いたのかは結びの指摘が全てだ。

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出典:防衛省 次期戦闘機のイメージ

この記事は「豪州の潜水艦導入で得をしたのは米英だけで自国の安全保障を米国に依存しているため『世紀の武器取引』と呼ばれた巨額なプロジェクトを米国に振り回され、豪州は無様な国防姿勢を国際社会にさらした。豪州以上に日本も米国に依存しているため、米国の意向に忖度して財源の裏付けもないまま防衛費を2%にあげようと息巻いている。このままでは日本も豪州のような醜態を晒しかねない」と締めくくっており、これを読ませたいために日本人に受けそうな「豪州は日本の潜水艦を採用すべきだった」という内容で釣ったのだろう。

繰り返しになるが、アタック級潜水艦に関する情報を現地紙やディフェンスニュース経由で追いかけてきた管理人は「日本製潜水艦を採用すべきであった」という豪州国内の声を見かけたことがなく、豪戦略政策研究所が「長距離哨戒任務や巡航ミサイルを搭載したアタック級潜水艦を9隻に減らし、ハンターキラーに特化したそうりゅう型潜水艦を9隻を直輸入で調達すればどうか」「原潜導入までのギャップ解消に日本のおやしお型潜水艦を導入してはどうか」と提案していたぐらいだ。

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出典:海上自衛隊 潜水艦「おうりゅう」の引渡式・自衛艦旗授与式

恐らくアタック級潜水艦のキャンセルや原潜導入の過程を安全保障や防衛産業に詳しくない人向けに書いたのかもしれないが、この記事は「やっぱり日本の潜水艦を素直に買っていれば良かったんだ」という勘違いを生む可能性があるので中々危険な香りがする。

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※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊

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