ロシアのプーチン大統領(左)とベラルーシのルカシェンコ大統領=9日、ビシケク(EPA時事)
ロシアのプーチン大統領は19日、侵攻を続けるウクライナの北隣に位置する同盟国ベラルーシを訪問する。
【図解】地図で見るウクライナ戦況
「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領とたびたび会談しているが、首都ミンスクに出向くのは2019年以来。ロシア側は軍事作戦の長期化に耐えられるよう、ベラルーシの軍需産業を掌握する可能性を含め、経済統合の深化を探る見通しだ。
ベラルーシは今年2月、ウクライナの首都キーウ(キエフ)に向けた進軍ルートに利用された。ロシアは電撃作戦に失敗したが、キーウ侵攻を「来年2月にも計画している」(ウクライナのレズニコフ国防相)とされ、ルカシェンコ政権のさらなる「戦争協力」が焦点となっている。
真冬のウクライナ各地に電気や暖房の供給停止をもたらしているインフラ破壊は、ロシア軍のイラン製自爆ドローン「シャヘド136」によるケースも多く、一部はベラルーシ領から飛来しているといわれる。また、ロシア軍は10月、同盟国同士の「合同部隊」名目でベラルーシに再び展開。戦況がこう着する中、ウクライナ軍を北部に引き付けるための心理戦とみられている。
プーチン氏のベラルーシ行きに先立ち、ミンスクをロシアのショイグ国防相が今月3日に訪問。この際、会談したルカシェンコ氏は「(合同部隊は)一つの軍のように態勢を整えている」と評価した。双方のやりとりについて、ウクライナ政府系サイトは17日、現地の反政権派の情報から「ロシアがベラルーシの軍需産業の掌握を試みている」と指摘した。
ベラルーシでは11月下旬に「欧米通」で知られたマケイ外相が急死。識者は「結果的に治安機関とロシアを利する」と分析している。ロシアの影響が決定的になるという見方がある中、ルカシェンコ氏は今月16日、「主権・独立国家としてロシアと共にある」と述べ、国家統合に応じない立場を示した。