青山学院大学客員教授でジャーナリストの峯村健司が12月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ゼロコロナ政策を緩和せざるを得なくなった習近平政権の現状について解説した。
【写真】「ゼロコロナ」崩壊 北京市中心部の病院の発熱外来窓口に並ぶ市民ら
「大丈夫か?」と中国をやや心配するシンガポール

「烈士記念日」の式典に臨む中国の習近平国家主席 2022年9月30日(共同)
飯田)峯村さんのツイッターを見ていると、いろいろなところに向かわれていますが、先日はシンガポールに行かれていましたよね?
峯村)そうなのです。弾丸で、「機中泊2泊」というような。
飯田)そうですか。
峯村)「この歳になってやるものではないな」と後悔しながら帰ってきました。話題は中国1本でしたね。
飯田)この時期で中国と言うと?
峯村)10月に行われた党大会で3期目になった習近平政権についてです。4年ぶりにの訪問です。前回まではシンガポールは、アメリカと中国の間で「どううまくバランスを取ればいいのか」という話をしていました。
飯田)これまでは。
峯村)中国に対して強硬というわけでもないのですけれど、どちらかと言うと中国を警戒していました。ところが今回は「中国は大丈夫か?」という論調が目立っていました。習政権は本当にこのまま持つのか、とい悲観的な見方もありました。
抗議運動が起き、習近平政権を心配するシンガポール ~中国に大きく依存
飯田)「持つのか?」というのは、習近平氏の3期目が始まった途端にいろいろなことが起きているからですか?
峯村)起きています。シンガポールは中華系が約7割を占めますが、実はそれほど中国にべったりなわけでもなく、共産主義が嫌だとか、文化大革命の時代が嫌で逃げてきた人が多いのです。そのため、共産主義に対するアレルギーが強い。
飯田)共産主義に対するアレルギーが。
峯村)ところが習近平国家主席はこの間の党大会の政治報告でも「マルクス! マルクス! マルクス! マルクス!」と連呼していたわけです。となると、「またかつての共産主義に戻ってしまうのではないか」という懸念を抱いてしまうのです。
飯田)かつての共産主義に。
峯村)もう1つは、習近平氏が完全に1強体制になったのだけれども、白紙革命と呼ばれる中国政府の「ゼロコロナ政策」に対する抗議運動が起きました。その影響は大きく、習政権は看板政策を事実上撤回に追い込まれます。3期目に踏み出した早々、躓いたわけです。シンガポールは中国に相当依存しているので、このまま中国が倒れると、それこそくしゃみをして風邪を引くどころではなく、吹き飛んでしまわないか心配しているのです。