「反保護主義」盛り込まずも米中を牽制 G20首脳宣言

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 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が採択した首脳宣言は「反保護主義」こそ明記しなかったものの、「自由」「公平」など、“貿易戦争”を過熱させる米国と中国を牽制(けんせい)する文言を盛り込むことに成功した。今後、自由貿易の推進に向け、宣言に盛り込まれた改革や取り組みを着実に進めることが、日本をはじめ国際社会に求められる。(山口暢彦)

 「G20が持つ力を発揮するには各国間の対立を際立たせるのではなく、共通点に光を当てることが重要だ。この考えには多くの国が賛同してくれた」。安倍晋三首相は閉幕後の記者会見でこう述べた。

 G20サミットの首脳宣言は、2008年のリーマン・ショック直後に開かれた初めての会議以降、毎回、反保護主義を明記してきた。

 しかし、17年に誕生したトランプ米政権に配慮し、昨年のアルゼンチンでのサミットで反保護主義を削除。今回のサミットでも、事前調整にあたった事務方は、早い時期に表現復活を断念していた。背景にあったのは、「トランプ米大統領を怒らせ、合意できるはずの事項も『ちゃぶ台返し』されては困る」(政府関係者)という判断だ。

 ただ、米中摩擦が世界経済の最大のリスクであることは間違いなく、初日の28日の会議でも、各国から懸念の声が相次いだ。こうした声を首脳宣言に最大限反映させつつ、米中も納得できるぎりぎりの表現を日本は探った。

 最終的には、「自由」「公平」「無差別」「開放的」「予測可能」「公平な競争条件」などを盛り込み、米国の制裁関税や中国の自国企業への補助金といった政策を牽制しつつ、名指しを避けて米中の顔を立てる形に落ち着いた。安倍首相は会見で「(首脳宣言のとりまとめで)大変な困難もあったが、多くの国の協力によって乗り越えられた」と振り返った。

 もっとも、G20が米中に直接働きかけ、貿易戦争をやめさせるのは難しいのも事実だ。米国による中国産品への追加関税「第4弾」が29日に見送られたのも、G20の説得でなく、トランプ氏と中国の習近平国家主席の首脳会談の結果だ。

 国際社会は今後も米中に根気強く働きかけることが重要だ。同時に、いずれ米国が多国間の枠組みに戻ることも念頭に、首脳宣言でうたった自由貿易体制の構築を着実に進めることが求められる。

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