露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

[ad_1]

ロシア軍元大佐のイゴール・ガーキン氏は「まもなく始まる攻勢は数ヶ月間に及ぶ動員や集積した物資を極めて迅速に消耗するため、どのような成功を収めたとしてもウクライナ軍の完全敗北には繋がらない」と指摘している。

戦線の動きは本質的に新しいことは何もない

ガーキン氏は現在の戦況について「本質的に新しいことは何もない」と語り、クピャンスク方面とリマン・クレミンナ方面でロシア軍は小規模な戦術的前進を見せたが再び戦線は安定し「フィールドポジションを巡る中隊レベルの戦闘が続いている」と指摘、成功を収めているバフムートについては「敵が予備戦力を投入したため前進速度が鈍っている。ロシア国防省は特別軍事作戦を開始した輝かしい記念日までに何らかの結果を出す必要があり、ウクライナ人も同じ理由でロシア人に結果を与えたくないと望んでいる」と述べている。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

つまりロシア人は2月24日までにバフムートを占領もしくは包囲し「輝かしい記念日」を祝いたいと考えているが、ウクライナ人はこれを阻止して「輝かしい記念日」を台無しにしたいと考えているという意味だ。

第155海軍歩兵旅団が壊滅的な被害を被ったヴーレダー攻略については「指揮をとるムラドフ将軍は平時の優れた窃盗を賞賛され、戦争中に部隊を連続して壊滅に追いやった手腕を賞賛されている。彼はほぼ一方的にやられて敵の損失が少ない肉弾戦が事態を打開していると期待しているが、せいぜい勲章か昇進ぐらいしか手に入らないだろう。この地域は前進もなく確保した陣地を保持できても撤退するのは不可能で非常に厳しい状況だ」と批判し、他の戦線は砲兵部隊の小競り合い程度で概ね変化がないらしい。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:Анатолій Штефан (Штірліц)  ロシア軍の砲撃で破壊されたヴーレダーの様子

米国やフランスなどがロシアとベラルーシに滞在する自国民に対して「今直ぐ出国しろ」と警告を発した件について「様々な推測が可能だが、ベラルーシ領からの差し迫った攻撃に関する情報を持っているのか、別のPRキャンペーンなのか情報を持っていないので判断できない」と述べている。

我が軍にそのような結果を生み出せるかは間もなく判明する

ガーキン氏は今後2週間以内に開始されるかもしれないロシア軍の総攻撃について「ベラルーシ領からのウクライナ北部・西部への侵攻」「ロシア領からハルキウ州への侵攻」「ザポリージャ州への侵攻」を挙げ、この3つの可能性について簡単な予測を披露した。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:ウクライナの戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ベラルーシ領からのウクライナ北部・西部への侵攻
常識的に考えてベラルーシ領からキーウやチェルニヒウ、ウクライナ西部のヴォルィーニ州に侵攻しても成功が見込めず、管理する戦線を1,000km増やすだけだ。なぜなら侵攻初期と異なり奇襲が不可能で、この全ての方向に敵は訓練された部隊を配置し、ロシア軍が攻めて来れば河川にかかる橋を破壊、戦車が通行可能な道は地雷や障害物で封鎖されるだろう。荒れた荒野、森林地帯、湿地帯を突破して攻撃を成功させるためには現在の戦力では少なすぎる。

最も控えめな計算でもウクライナ北部・西部(ポーランド国境からロシア国境まで)に確固たる戦線を築くには15万人~20万人の兵士が必要で、このような部隊を追加動員なしに編成するのは不可能だが、このアイデアを実行に移せばウクライナ軍も相応の負担を強いるため反撃用の予備戦力や物資を消耗させるか、実行する反撃が著しく弱わまるかもしれない。

但し、戦力や物資を消耗するのはロシア軍も同じなので、本格的な攻撃ではなく陽動目的(限定な戦線でウクライナ軍の消耗を目的にした作戦)でなければ新たな戦線を開く意味がない。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:Минобороны России

ロシア領からハルキウ州への侵攻
ベラルーシ領から新たな戦線を構築するより遥かに可能性が高く賢明な選択だ。再びハルキウ州内に足場を築ければロシア領ベルゴロド州に対する攻撃を抑制することができ、ウクライナにとって事実上の第2首都ともいえるハルキウを占領することは戦略的にも意味があり、この都市や周辺地域の戦いは戦争の流れを変える可能性を秘めているかもしれない。

どちらにしてもハルキウ州を攻撃すれば作戦の成否に関わらず大きな損失をもたらすので、消耗された戦力の補充は新たな動員なしには成立しないと固く信じている。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:Mil.ru/CC BY 4.0

ザポリージャ州への侵攻
この地域に対する攻撃は最も重要で、仮に上記の攻撃を仕掛けても必ず同時に実行する必要があり、ザポリージャ州は今後の攻勢の主になる可能性を秘めている。ザポリージャへの道を開くにはオレホボとフリアイポレを攻略しなければならず、これを無視してドニエストル沿いにザポリージャへ進めば敵に側面や背後を突かけるだけだ。

ロシア軍にとってのメリットは地形が比較的平坦なので大きな拠点に戦力を集中させないと守りにくいという点だが、デメリットはザポリージャ州が約1年間も平穏だったためウクライナ軍が拠点を要塞化してしまったことで、この戦線を素早く突破するには練度の高い戦力が必要になり、ここでも作戦の成否に関わらず大きな損失を被るだろう。

しかし作戦が成功して突破口から機械化部隊が侵入できればウクライナ軍の拠点や陣地を包囲・殲滅することでき、敵はドネツク州の後方を心配しなければならなくなるが、我が軍にそのような結果を生み出せるかは間もなく判明(攻勢がキャンセルされれば永遠に答えは分からない)する。

クレムリンは全てを成り行きと偶然に任せているように感じる

ガーキン氏は現在のロシア軍について「大規模な戦略的攻撃をウクライナ軍相手に成功させるほどの違いを持っておらず、上記に挙げた3つの内1つだけに攻撃部隊を編成して残りは陽動をして使うの理論的には可能だが、ドネツク方面での撹乱と時間稼ぎ目的の攻撃は当然継続されるだろう。何れにしても今回の攻勢は数ヶ月間に及ぶ動員や集積した物資を極めて迅速に消耗するため、どのような成功を収めたとしてもウクライナ軍の完全敗北には繋がらない」と指摘しているのが興味深い。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

要するに30万人以上と見積もられている戦力では攻勢限界が知れているので、ウクライナに軍事的敗北を認めさせるレベルに届かない(仮に作戦が成功してもハルキウ州かザポリージャ州を切り取るの精一杯)とガーキン氏は見ており、攻勢の成否に関わらず「戦線維持に必要な人的資源や産業界の総動員をクレムリンが1日でも早く決断しなければならない」と指摘し、総動員がもたらす政治的・経済的な結果に怯えて決断を先延ばしにすればするほど「ウクライナに軍事的敗北を認めさせるチャンスが失われていく」と述べている。

因みにガーキン氏からクレムリンは「攻勢か反撃で新たな大敗北が生じるまで何も動こうとしておらず、全てを成り行きと偶然に任せているように感じる」とも書いている。

露軍元大佐、ウクライナとの戦争をクレムリンは成り行きと偶然に任せている

出典:Генеральний штаб ЗСУ

つまり政治的・経済的な影響を考慮してクレムリンは「動員の範囲を最小限にしたい」と考え、この願望が「何れウクライナが根負けして和平交渉に応じてくるか、西側諸国が戦争に疲れてウクライナ支援を打ち切るだろう」という受動的な戦略に繋がり、ウクライナに戦争集結を強制する能動的な戦略(ウクライナ全土やキーウを占領するプランがない)を用意する意思に欠けているという意味で、もしウクライナが火の玉のような決意を維持して西側諸国の支援が切れないとクレムリンは戦争の出口を見失うだろう。

追記:なぜ祖国の勝利を信じず、それを疑い、公の場で発言するのか?そのような行為が人々の勝利への信頼を損ない敵を助けることになるのだという批判にガーキン氏には「クレムリンと軍が勝利に不可欠な軍事経済と動員に対して責任ある行動を取れば祖国の勝利を信じるだろう。現在のクレムリンは戦争遂行に必要な義務を放棄し、戦争中であることすら認めず、大敗を喫した将軍たちも仕方がなかったと装うことで保身を図っているのに『祖国の勝利』を保証するのは滑稽だ」と述べている。

特別軍事作戦に参加していたガーキン氏、ロシア軍は惰性で戦っているだけ

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

[ad_2]

Source link