「ゾンビ案件」でも…検察が重視した大統領選巡る不正 見通せぬ裁判の行方
2023/4/5
米大統領経験者として初めて前大統領を起訴するにあたり、検察側は今回、2016年の大統領選に絡む不正行為であることを重視し、「重罪」とした。ただ、その主張は異例ともいわれ、裁判の行方は見通せない。
罪状の34件は口止め料の支払いにかかわる一族企業の業務記録改竄で(*)、ニューヨーク州では通常、軽犯罪として扱われる。だが、検察側は「16年大統領選の公正さを損なう行為だ」(地区検察のコンロイ検事)として重大視し、重罪とした。
一方、重罪であっても、今回の罪状は重罪で最も量刑が少ないものだ。口止め料を巡る捜査は過去に断念と再開を繰り返し、一時は「ゾンビ案件」(*1)と呼ばれていた。
捜査責任者のブラッグ地方検事は「新たな証拠」を得たとして昨夏、捜査を本格化させたが、大統領選に絡む犯罪を隠すため業務記録を改竄したという主張は「先例がない」といい、戦略として適切か問う声もある。(産経)
(*)ビジネス記録の改ざんであれば、軽犯罪であり、2017年に起きた本件は完全に時効。しかし、ブラッグは他の犯罪を隠蔽するために行ったというフランケンシュタイン論法と言われる論法で重罪に格上げした(時効は5年)
(*1)2019年連邦検察、2021年連邦選挙委員会 (Federal Election Commission)は追及しないこととしたが、今回いち地方検事であるブラッグが驚異的な論法で提訴に及んだ。