住民の足のはずが…「ライドシェアの思わぬ効果」《役場も驚いた“普通の町民”のおもてなし力》人口6000人を割った小さなまちに起きた変化


【写真】筆者が宿泊した助産院併設の宿泊施設は、かなり外れた場所にあった

 バスがなくなることに町民の反発は大きかったが、当初、2000人前半だった乗客数は昨年10月3000人台に乗り、今年10月に4000人を突破するなど右肩上がりで増えている。

 利用者の増加に大きく貢献しているのが外国人や観光客だ。同町は観光客のヒアリングから、町の人たちが気付いていない「のりりん」の魅力を知ったという。

 「のりりんは町外の人でも利用できますが、観光客向けの分析や施策は特にやっていませんでした。だから『遊ぶ広報』で町に来た旅行者から聞いて、観光客にそんなに刺さっているのかと驚いた次第です」

 智頭町企画課の長谷龍太郎さんはそう話す。

 「遊ぶ広報」とは同町が24年度から実施する、滞在型の観光を促進するプログラムだ。智頭町に2週間滞在し、SNSで町の魅力を発信してもらう代わりに滞在補助を支給する。今年度は6月から合計30人を受け入れている。

 2年目の今年は、遊ぶ広報の参加者を町のラジオ番組のゲストに呼ぶなど、交流を増やすようにした。その中で、「のりりん」が旅行者にとって強力な訴求ポイントになっているのを知ったという。

 筆者も「遊ぶ広報」で智頭町を訪問した1人だ。「のりりん」の1回の利用料は500円だが、観光協会の人に勧められて1カ月5000円の定期を買った。



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