国内有数の温泉地である大分県別府市で、高級ホテル・施設の大型プロジェクトが相次いでいる。英大手ホテルのインターコンチネンタルホテルグループが、ラグジュアリーブランドホテルを8月に開業するほか、オリックスグループが保有・運営する、別府で収容客数最大の「別府 杉乃井ホテル」を、総工費400億円超を投じて大規模リニューアルする。こうした取り組みは、欧米の訪日外国人旅行者(インバウンド)や富裕層の取り込みを狙うものだ。別府のイメージの改革につながると、地元も期待を寄せている。
■高級外資ホテルが進出
インターコンチネンタルがオープンする「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」は、別府では初となる外資によるラグジュアリーブランドホテルとなる。全89室の客室は62~212平方メートルのゆったりとした設計で、竹細工などを生かしたインテリアになるという。
同社としては2連泊プランを軸に想定し、温泉だけでなくローカルツーリズムをテーマに、欧米、豪州の富裕層のインバウンドの誘引を想定している。
総合リゾート運営会社の星野リゾート(長野県)はこのほど、温泉旅館「界 別府」を起工した。別府湾に面したホテル跡地に、12階建て70室の本格温泉旅館ブランドを令和3(2021)年春にオープンさせる。新国立競技場(東京)を手掛けた建築家の隈研吾氏が、施設の設計を担当する。
■老舗も対抗策
こうした別府への新規参入組に対し、地元の雄である老舗の杉乃井ホテルは、大規模改装で迎え撃つ。
同ホテルを保有・運営するオリックス不動産(東京)が発表した計画では、現在の3棟の宿泊施設のうち、最も古い本館を解体し、残り2棟を改修すると同時に新たに2棟を建てる。プロジェクト完了の令和7年には4棟となり、客室数は現在の647室から約700室に増える。
昭和19年開業の歴史があり、平成14年にオリックス不動産が取得し、20年から運営も手掛けている。別府湾を一望できる露天風呂などユニークな施設があり、外国人にも人気を集めており、大型リニューアルでは、リピーターの確保に加え、欧米からの外国人客の増加も狙う。