参院選後の政局 「自公過半数割れ」でどうなる? 与野党の読みと水面下の攻防

7月3日に公示された参議院選挙は、まもなく中盤戦へと突入します。この参院選後の政局は、日本の政治にとって極めて重要な局面を迎える可能性があります。特に与党である自民・公明両党が非改選議席を含めても過半数を割り込む事態となれば、政権交代の可能性すら視野に入ってくるため、各党は残り期間の選挙戦に全力を注いでいます。一方で、既に各報道機関による序盤情勢調査では、自公両党の過半数獲得が「微妙」との予測が相次いでおり、各党の幹部は早くも選挙後に予想される政局の激動を見据え、水面下での活発な神経戦を展開しています。

参院選中盤、選挙後の政局を見据え演説する石破茂首相参院選中盤、選挙後の政局を見据え演説する石破茂首相

与党・自民党内のシナリオ

まず、石破茂首相率いる自民党内では、参院選の結果を受けた二つの主要なシナリオが想定されています。一つは、与党が参議院での過半数を維持できた場合、石破政権がそのまま継続するというシナリオです。もう一つは、過半数割れとなった場合、石破首相が退陣し、総裁選挙を実施して後継のリーダーを選出するというものです。

しかし、党内の一部からは、過半数割れという厳しい結果になった場合に向けた「奇策」も囁かれています。ある閣僚経験者は、「衆参両院で過半数を割れば、後継総裁が国会での首相指名選挙で敗れる可能性も否定できない。そのため、あえて過半数割れでも石破首相が続投し、少数与党として自公政権の存続を図る」という選択肢も取り沙汰されていることを明かしています。これは、不安定ながらも政権を維持するための苦肉の策と言えます。

野党側の対抗シナリオ

対する野党側も、選挙後の政局を冷静に分析し、様々なシナリオを検討しています。ある政治ジャーナリストは、仮に自公両党が衆参両院で過半数割れとなった場合でも、野党第1党である立憲民主党の野田佳彦代表が直ちに首相に就任できる可能性は「極めて微妙」だと指摘しています。これは、野党間の連携が十分でないことや、連立政権樹立に向けた課題が多いことなどが背景にあります。

そのため、野党内からは「次善の策」として、結果的にあえて少数与党となった自公政権を存続させ、国会における審議や法案への対応を通じて、野党が一致結束して政府への圧力を強め、要求を最大限に実現していくという戦略も浮上しています。これは、直ちに政権を奪取できないまでも、国会の力関係を有利に進めることで政策実現を図るという現実的なアプローチです。

選挙後の「にらみ合い」状態

こうした与野党それぞれの思惑があるため、参院選後には「与党が過半数を割っても、与党・野党の双方が互いの出方を慎重に見極め合う『にらみ合い』の状態に陥る可能性が高い」と指摘する声が多く聞かれます。各党幹部が、各種の選挙情勢調査の結果を精査しながら、水面下で相手の動きを牽制し、自陣営の対応策を練るための駆け引きや根回しに奔命しているのは、まさにこのにらみ合いを有利に進めるためです。

水面下での駆け引きの背景と昨秋の衆院選からの教訓

こうした選挙結果確定前の段階から水面下での駆け引きが活発化している背景には、過去の教訓があります。そもそも、昨秋の衆議院選挙で自公政権が事実上、少数与党に近い状態となった段階で、理論上は野党が連携して政権を奪取するチャンスは存在しました。しかし、選挙後の特別国会で実施された首相指名選挙では、主要な野党がそれぞれ自党の党首に投票するに留まり、結果として自民党総裁が首相に指名されるという事態になりました。

この経験から、選挙結果が与党に不利に傾いたとしても、野党側が一致した行動を取れるとは限らないという見方が生まれています。そのため、与党は少数与党でも粘り強く政権を維持する方法を模索し、野党側も政権奪取が困難なら国会での影響力最大化を目指すという、それぞれの現実路線での戦略構築を進めているのです。

結論

参議院選挙の行方は、日本の今後の政治の方向性を大きく左右します。特に自公両党が過半数を維持できるかどうかが、選挙後の政局の焦点となります。過半数割れとなった場合には、自民党内のリーダーシップや政権の形、そして野党側の協力体制や戦略が問われることになり、水面下での激しい攻防が繰り広げられるでしょう。選挙戦の終盤はもちろん重要ですが、真の政治決着は投票箱の蓋が閉まった後に始まると言っても過言ではありません。各党の今後の動きから目が離せません。

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/c834ac38e5d6888d541985289fb43402ae09fc49