産経新聞社は5日、全国の総支局などを通じ、参院選(改選124議席、21日投開票)の序盤情勢を探った。自民、公明両党の獲得議席は、安倍晋三首相(自民党総裁)が目標とする非改選70議席を含めた参院全体の過半数維持に必要な53議席を上回り、改選過半数の63議席を超えるのも確実な情勢だ。憲法改正に前向きな勢力で国会発議要件を満たす3分の2(164議席)の維持をうかがう。
与党が堅調な背景には、安倍政権の評価が安定していることがありそうだ。共同通信社が4、5両日に実施した電話世論調査でも同様の傾向が出ており、自公両党で77議席前後に上る勢いとしている。
改憲勢力は、自公と日本維新の会などに、無所属の平山佐知子氏(非改選、静岡)を新たに加えた。非改選は78から79議席に増え、3分の2維持には今回85議席が必要となる。
選挙区(74議席)では、参院選の勝敗を左右する32の1人区のうち、自民が約3分の2で先行している。自民は16選挙区を激戦区に指定したが、3年前の21勝11敗より堅調な数字が見込まれる。野党5党派による統一候補は長野や愛媛、沖縄で自民候補にリードしているが、現時点で共闘効果は限定的といえそうだ。
13の複数区でも、自民は1議席を確実に固め、2人を擁立した改選数6の東京は2議席も視野に入る。改選数3の北海道と千葉、改選数2の広島では2人目が野党と競合している。比例代表(50議席)でも、自民は3年前の19議席を上回る勢いがある。
公明は、6選挙区で当選が見込め、最重点区とする兵庫で野党と激戦を展開。比例では3年前と同じ7議席を確保しそうだ。
野党は、立憲民主党が東京、千葉、神奈川などで議席を獲得する見通しで、比例と合わせて2桁が確実。国民民主党は、比例で3議席前後にとどまる可能性が高い。
共産党は比例で5議席の確保が難しい情勢だ。維新は大阪と兵庫で1議席を固め、大阪の2議席目に注力。社民は比例で1議席が見込める。
情勢は選挙戦の行方によって投票日までに変わる可能性がある。5日には期日前投票が始まった。