「どうする家康」第21回の「長篠を救え!」一場面
嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第21回「長篠を救え!」(4日放送)で、織田信長(岡田准一)がピンチの家康を助けに来る。
武田勝頼(眞栄田郷敦)の軍勢は徳川領の長篠城(現・愛知県新城市)へ。持久戦へと突入していた。家康は信長に援軍を要請。信長は2万を超える軍勢で駆けつけた。言葉だけで振り返ると簡単な話だが、大名同士のやり取りになると簡単ではない。信長は家康に驚きの条件を突きつける。
なお次回予告の動画では、信長がこれまでの若武者スタイルから、ちょんまげに変貌。眼力にすごみもましている。SNSでも「ちょんまげ形態になった」「ちょんまげにイメチェンしてた…」と静かに反響が起きている。
前週の第20回「岡崎クーデター」(5月28日放送)では、瀬名(有村架純)が武田サイドに接触する様子が描かれた。武田の女忍者に自ら接触。広く伝わる説では「築山事件」の張本人で、家康にとっての悪妻として知られる瀬名。今作は、瀬名が悪妻ではなかったという解釈で描かれており、脚本・古沢良太氏のシナリオが気になってくる。
ほっこりとする場面もあった。これまで家康につきまとい、命を狙っていながらも後に仕官した井伊直政(板垣李光人)が、家康に仕官理由を聞かれ改心の理由を告白。城下町の民が家康をバカにして大笑いしていることを挙げ「民を恐れさせる殿様より、民を笑顔にさせる殿様の方がずっといい。きっとみんな幸せに違いない」と真顔で述べた。
番組関係者によると、直政の心境はドラマのオリジナル。それでもネットでは「直政の意見、マジで感動するな」「素晴らしいセリフだった」のツイートが相次いだ。今川からあっさり織田に乗り換えたり、いずれ豊臣氏を見限るなど、従来のイメージにあるのはタヌキ親父。それでも今作で描かれているのは、すぐに怖がる、切腹したがる、裏切り者も処罰しないなど、史実に基づいた弱い家康像だ。すぐ泣く松本を見ていると笑える時もあるが、不思議と好感も湧く。「ドラえもん」で、のび太が嫌いになれない心境に近い。
第20回の平均世帯視聴率は10・4%でダウン。ライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」の13・4%、日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」の11・5%に次ぐ数字だった。中盤に入り、三英傑(家康・信長・豊臣秀吉)が一堂に会する場面が増えてくる。それぞれが大河や歴史ドラマの常連。今作での個性の描かれ方を楽しみたい。
(NHK担当・浦本将樹)
※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区
報知新聞社