(写真:朝鮮日報日本語版) ▲進歩党の姜聖熙議員(左)が5月22日、韓国国会で開かれた朴敏植・国家法勲部長官候補(右)の人事聴聞会で質疑を行っている。/写真=国会放送
韓国の進歩(革新)系野党「進歩党」の姜聖熙(カン・ソンヒ)議員議員が5月22日、朴敏植(パク・ミンシク)国家法勲部(省に相当)長官候補の聴聞会で李承晩(イ・スンマン)大統領記念館設立に反対し、李・元大統領のことを「内乱罪の首謀者」と呼んだ。1960年の4・19革命当時、憲法や法律に基づかない非常戒厳の宣布で市民およそ100人が警察の発砲で命を落としたのだから、李・元大統領は「内乱罪」に当たるという論理だった。これまで一部の左派関係者は、李・元大統領が12年にわたり政権の座にあったことを根拠に「独裁者」と批判してきたが、姜議員はさらに踏み込み、独立運動家にして建国大統領である人物を「内乱罪の首謀者」だとする奇怪な暴言までぶちまけたのだ。
姜議員の発言には、「大韓民国は生まれてはならなかった国」だというNL(民族解放)系学生運動出身者の「北朝鮮正統論」歴史観がそのまま反映されている。姜議員が身を置く進歩党には、2014年に内乱扇動で解散させられた旧統合進歩党の中心メンバーが多数参加している。彼らは、解放後の韓半島の歴史について「親日派が独裁を行った南韓」「抗日運動で先頭に立った金日成(キム・イルソン)の北朝鮮」と見なしている。彼らの目には、正統性のある北朝鮮が韓半島を統一できないのは大韓民国を樹立した李承晩のせいだ-と映る。
北朝鮮正統論の視角にとらわれているから、李・元大統領が韓国の体制として自由民主主義と市場経済を選択し、6・25戦争で共産勢力を食い止め、韓米同盟で安全保障体制を構築した功績からは徹底して目を背け、李・元大統領と韓国をおとしめるのだ。進歩党の綱領には、保守系与党「国民の力」とも、進歩系最大野党「共に民主党」とも違って、「大韓民国」という単語が1回も登場しない。進歩党は綱領に「東学農民革命と3・1運動、4・3民主抗争、4・19革命、釜馬抗争と5・18民衆抗争、6月民主抗争と7・8・9月労働者大闘争、ろうそく革命など、とうとうと続いてきた民衆闘争の歴史と精神を継承する政党」と記した。彼らの歴史には「大韓民国」がない。
今年4月に全羅北道全州乙選挙区の再選挙で国会入りを果たした姜議員が、残り1年の任期中、さらにどれだけ韓国と李・元大統領をおとしめるか分からない。だが一つ、忘れてほしくないことがある。姜議員は李・元大統領が建国した自由民主主義大韓民国の国会において表現の自由を享受している、という事実だ。
キム・スンジェ記者