近年、長時間労働や少子高齢化を背景に、世界中で「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれています。日本でも2007年に憲章が策定され、官民一体となってこの概念の推進に取り組んできました。しかし、約20年が経過した今年、女性初の首相に就任した高市早苗氏が「ワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てて働く」と表明したことで、再びこのテーマが大きな注目を集めています。20代から仕事に邁進してきたタレントのホラン千秋さんが、この発言に対する自身の受け止めを語りました。
「首相に『ライフ』の概念は存在しない」ホラン千秋が語る多忙な政務の実態
ホラン千秋さんは2017年から2025年3月まで、TBS系の夕方報道番組「Nスタ」でキャスターを務め、この8年間で第二次安倍晋三政権から石破茂政権まで、四つの政権の動向を報じてきました。その経験から、首相という職務の多忙さを肌で感じてきたと言います。
ホランさんは「首相動静」と呼ばれる記録が一般公開されていることを指摘し、歴代の首相がいずれも休みなく働いている様子が「一目瞭然だった」と述べました。高市首相の発言についても、「ワーク・ライフ・バランスという言葉をあえて口にしなくても、そもそも『総理』という役職に就いた瞬間から『ライフ』という概念は存在しないくらい、みなさんお忙しかったと思います」と、自身の見解を述べています。
それでもなお、高市首相があえて「言葉にした」ことには、ご自身の強い「覚悟」を示したかったのだろうとホランさんは受け止めています。「同じことを心に決めていても、言葉にするのとしないのとでは国民に届くメッセージは大きく変わってくる。どう『パフォーム』(演じる)するのかというのは、政治家にとって大切な要素です」と、政治家の言葉の重みと意図を分析しました。
「ワーク・ライフ・バランス不要論」について自身の見解を語るホラン千秋氏
女性初の首相としてのメッセージ:世論への揺るぎない意思表示
高市氏が女性初の首相として注目されている点も、ホランさんはその発言の背景にあると考えています。自民党内はもちろん、世間からも様々な反響があったであろう中で、高市首相の言葉は「どんな声があったとしても、自分はやるべきことをやっていく」という強いメッセージだったのではないでしょうか。ホランさんは「時代が違えば、もしかしたら高市さんはまた違う表現をしていたかもしれません」とも付け加え、時代の空気や状況が発言に与える影響にも言及しています。
一般労働者と首相の「働き方」の違い:ホラン千秋が感じる発言への納得感
ホランさんは、首相という職務が「文字通り国を背負う激務」であると強調し、「私たちのような一般社会の労働者と首相の感覚を同列で語ってもいいのだろうか」という問いを投げかけました。この根本的な違いを踏まえた上で、ホランさん自身の受け止めとしては、「自民党の置かれた状況や、高市さんをイチ政治家として見たとき、個人的にはその発言に違和感はありませんでした」と語っています。
この発言は、単に「ワーク・ライフ・バランス」を否定するものではなく、首相という特別な立場における「覚悟」と「職務遂行への決意」を明確に示したものとして、ホラン千秋さんの目には映ったようです。政治家としてのパフォーマンス、そして女性初の首相としての強い意志が、その言葉に込められていると分析しています。
高市首相の「ワーク・ライフ・バランス不要論」は、日本の「働き方」を巡る議論に新たな視点をもたらし、特に最高責任者の職務の特殊性について改めて考えるきっかけを与えました。ホラン千秋さんの見解は、この複雑な問題を多角的に捉える上で、示唆に富むものと言えるでしょう。





