(写真:読売新聞)
ロシアのウクライナ侵略をめぐり、ワシントン・ポストなどの米メディアは8日、ウクライナ軍がロシア軍への大規模な反転攻勢に本格的に着手したとの見方を相次いで示した。ウクライナ軍高官らの情報としている。露軍が領土奪還を目指すウクライナの攻勢を受ける構図となり、ロシアのウクライナ侵略は新たな局面に入る。
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8日、ウクライナ東部ルハンスク州に展開するウクライナ兵=AP
ウクライナ侵略を詳細に分析している米政策研究機関「戦争研究所」も、同様の見方を示した。ウクライナの国防次官は8日、SNSで、東部ドネツク州ベリカノボシルカ付近と南部ザポリージャ州オリヒウ付近で露軍が「積極的な防御」を展開したとの表現で、ウクライナ軍が攻勢に出たことを示唆した。
攻勢をかけている地点の南100キロ・メートル前後の距離には、ロシアが2014年に併合した南部クリミアと露本土を結ぶ「陸の回廊」の拠点都市がある。ウクライナ軍はクリミアと露本土の分断を優先し、奪還地域を拡大する構えとみられる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8日、SNSで陸軍司令官らと「重要な会合」を開いたと明らかにし、前線司令部とみられる場所で司令官らと協議する写真を投稿した。英紙フィナンシャル・タイムズによると、独製戦車「レオパルト2」が前線に投入された。
一方、露軍は数か月前から占領地域一帯に幾重もの防衛線を構築し、死守する姿勢を鮮明にしている。
プーチン露大統領は9日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と露南部ソチで会談し、ロシアによるベラルーシへの戦術核配備が7月8日以降の早い時期になると述べた。「核の威嚇」で大規模反攻を妨げる意図とみられる。