沖縄も「対日カード」か 習近平氏の「琉球」発言が波紋 人民日報1面


沖縄も「対日カード」か 習近平氏の「琉球」発言が波紋 人民日報1面

6月4日付の人民日報1面。習近平国家主席の「琉球」に関する言及を伝えた(三塚聖平撮影)

中国共産党機関紙、人民日報は6月4日付1面で、習氏が古書などの歴史資料を収蔵する中国国家版本館(北京市)を1日に視察した際の様子を伝え、その中で習氏が琉球と中国の交流に言及したと報じた。

職員から「釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)とその付属島嶼(とうしょ)が中国の版図に属すると記録」したという明代の古書の説明を受けた習氏は、福建省福州市での勤務時代を振り返り「福州には琉球館、琉球墓があり、琉球との交流の根源が深いと知った」と発言。明代に福建から琉球へ渡来した「閩(びん)人(久米)三十六姓」にも言及した。

習氏は1990年代に福州市トップを務めた。琉球王国の滞在施設だった琉球館には、習氏に関する展示もあり、習氏は福州勤務時代に那覇市との「友好交流を重視していた」という。

習氏の発言について、日本への新たな揺さぶりという見方が浮上している。人民日報は2013年5月に、沖縄の帰属について「歴史上の懸案で、未解決の問題」と疑問視する研究者の論文を掲載。同紙傘下の環球時報は、沖縄の独立勢力を「育成すべきだ」と主張した。当時は日本政府の尖閣国有化を受けて日中関係が悪化しており対日圧力の一環とみられていた。その再現という見方だ。

香港出身の国際政治学者、林泉忠(りん・せんちゅう)氏は「中国は沖縄の地位問題には慎重な態度で対処するだろう」とみる。主権の問題に安易に手を出せば、台湾問題などに飛び火する可能性もあるためだ。ただ、習政権はここ数年、連携を強めるロシアを意識し、北方領土問題でロシア寄りの姿勢に調整する発言を見せている。林氏は「今後、東アジアの地域関係が大きく動いた際に中国が戦略をいかに調整し、『沖縄カード』を切るのかは注目に値する」と指摘する。(北京 三塚聖平)



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