「うんこで困ってる、でも…」 身近で深刻、指定難病IBDの悩み

[ad_1]

「I know IBD」プロジェクトに協力するホテルで入り口に掲げられているステッカー=札幌市中央区で2023年6月1日午後2時21分、谷口拓未撮影

【難病再発し辞任表明 頭を下げる安倍元首相】

 「症状がコントロールできていなければ、待ち合わせ時間に合わせて出かけようとした時にトイレに行きたくなり、おなかが痛くて動けなくなることもある。外出が不安になるし、何度も便意に悩まされると日常生活の大きな支障になる。それはつらい」。21歳でクローン病と診断された北海道釧路市に住む阿部雄二郎さん(43)は症状の苦しさを説明する。

 IBDに詳しい日比紀文・慶応大名誉教授によると、IBDは主に潰瘍性大腸炎とクローン病に分けられる。比較的若い世代での発症が多く、ともに激しい腹痛、下痢や軟便が主な症状だ。原因不明の慢性的な腸の炎症で、根本治療はなく、国内患者は計29万人以上と推計されるという。

 患者に共通する悩みは、「便意切迫感」。突然で急激な便意のことだ。近年は投薬などの適切な治療を受ければ、症状が収まる「寛解」を保てるようになったが、「トイレの不安は尽きない」という声がある。身近で深刻な問題だ。

 製薬会社「アッヴィ」と患者団体の働きかけで、2013年に5月19日が「IBDを理解する日」とされた。認知度を高め、住みよい社会にしようという目的だが、理念は思うように広まってはいない。アッヴィが21年5月に結果を公表した一般400人を対象にしたアンケートによると、「IBDを知っているか」との問いに対し、56%が「全く知らない」、34・8%が「聞いたことはあるが、どんな病気かは全く知らない」と回答した。

 ◇「おむつ着用の手もなくないが…つらい」

 アッヴィは患者に寄り添うとともに普及を進めようと、22年に「I know IBD」というプロジェクトを始めた。賛同した民間事業者はプロジェクト名と「ご遠慮なくどうぞ」という文言を記したステッカーを店先に張り出し、患者がトイレを利用できるよう受け入れている。賛意を可視化し、患者にとっては困ったときの心のよりどころとなる。

 プロジェクトは47都道府県の81社2274店舗(6月19日現在)が参加。ホテルや薬局、美容室など幅広い業種が名を連ねる。患者会「北海道IBD」の副会長を務める阿部さんは「トイレの問題は尊厳に関わる。おむつ着用という手がなくないが、(心理的には)つらいものがある。我慢して病状が悪化する恐れもある。うんこ一つで困っている人がいる。社会の理解が広まってほしい」と意義を強調しながら、更なる広まりを期待した。

 アッヴィは5月にオンラインで記者会見し、「観光地」でもプロジェクトを推進すると表明した。日常の生活圏から離れる旅行は、慣れない場所でのトイレ事情が患者の頭をよぎる。トイレが不安で遠出を避ける患者もいる。QOLの向上につながる快適な旅行を誰もが楽しめるようにとの考えが根底にある。

 「小江戸」で知られる埼玉県川越市の「川越一番街商店街」は、プロジェクトへの参加に向けて準備を進めているという。日比名誉教授は「患者は見た目で分からない。だから周囲の理解不足と患者の遠慮が生じる。日常生活に加え、楽しい人生を彩れるように環境整備、理解が不可欠だ」と指摘する。

 阿部さんは2カ月に1回の通院治療で寛解を保っているが、外出先に使用できるトイレがあると分かっていると「とても安心だ」と語る。そして訴える。「1日1回のうんこの人がいれば、病気で20回、30回の人もいる。病気のある人の方向を向いて、社会がデザインされてほしい」

[ad_2]

Source link