トラウマ必至…マンガ屈指の「胸糞シーン」

フィギュア「figma ボンドルド」 (C)つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「深き魂の黎明」製作委員会
マンガを読んでいて不意に訪れる「胸糞シーン」は、読者の記憶へと強烈に植え付けられるものです。読んでいた当時は目を背けたくなっても、時間が経つと、ふと思い返して、読み返して、そのシーンを語りたくなった……という経験をした方もいるのではないでしょうか。
【画像】漏れている液体の色は…? 『メイドインアビス』ボンドルドの作ったカートリッジを見る
そう考えると、感情を揺さぶり、物語を引き立てる重要な要素なのは間違いありません。この記事では、想像すると絶望的な気分になる、記憶に残る「胸糞シーン」を3つご紹介します。
●『鋼の錬金術師』の「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
胸糞シーンとしてトップクラスの知名度を誇るのが、このセリフの場面でしょう。荒川弘先生の代表作『鋼の錬金術師』で、「合成獣(キメラ)」の権威であるショウ・タッカーが放ったセリフです。タッカーは主人公のエドワード・エルリック、弟のアルフォンスが彼の家を訪れる2年前に、「人語を話す合成獣」の錬成に成功し、その研究は高い評価を得ていました。
エドたちは賢者の石の情報を求めてタッカー家を訪れ、タッカーの娘・ニーナ、愛犬のアレキサンダーとも仲良くなります。妻に逃げられたというものの、幸せな家庭に見えるー家でしたが、実はタッカーは研究に行き詰まっており、国家錬金術師の資格剥奪に怯えていました。
そんなある日、エドとアルがタッカーを尋ねると、そこには1匹の合成獣がいます。「人語を理解する合成獣」の錬成に、成功したというのです。ところが、エドと初対面のはずの合成獣が発した言葉は、「えどわーど」「お にい ちゃ(おにいちゃん)」でした。これですべてを悟ったエドは、タッカーを問い詰めます。
「タッカーさん 人語を理解する合成獣の研究が認められて資格とったのいつだっけ?」
「ええと…2年前だね」
「奥さんがいなくなったのは?」
「………2年前だね」
「もひとつ質問いいかな」
「ニーナとアレキサンダー どこに行った?」
「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
家族にまで手にかけたタッカーの所業が明かされ、当時の読者はみな衝撃を受けたことでしょう。いまではネットミームの定番として使われてもいますが、多くの人の記憶に残るほど、強烈なシーンだったからにほかなりません。
●『メイドインアビス』の 「カートリッジ」
つくしあきひと先生によるファンタジー作品『メイドインアビス』は、かわいらしいキャラクターデザインと、残酷な描写のギャップが印象的な作品です。同作のなかでも一番の胸糞シーンといえば、「黎明卿」ボンドルドの使うアイテム「カートリッジ」の正体が明かされる場面でしょう。
このカートリッジは、命にかかわる「アビスの呪い」を無効化することができるという、作中設定を覆すようなアイテムでした。どんなカラクリになっているのかというと……その材料は、生きた人間の子供だったのです。脳などを除いた、余分な手足や肉を生きたまま削ぎ落とし、箱詰めにした「肉の呪い避け」、それがカートリッジの正体でした。カートリッジのなかに詰められた子供は、まだ生きている状態であり、ボンドルドにかかる地獄のような負荷を肩代わりして、死んでいくことになります。
なおかつこの効果は、お互いに強い絆が生まれていないと発揮されません。そのため、ボンドルドは多くの孤児たちに優しく接することによって、このカートリッジを生み出し続けてきました。そして、自身の娘・プルシュカまでも……。
ボンドルドの行為には身の毛がよだちますが、「そもそもなぜこんな設定を思いつけるのか……」と、作者である、つくしあきひと先生のことも恐ろしく感じてしまうほど強烈なシーンです。