岸田政権、今度は〝退職金増税〟勤続20年以上が標的!?「いまになって長期で安定した働き方否定…倫理的にも問題」識者

[ad_1]

岸田文雄首相

どこまで苦しめれば気が済むのか。「増税」や「負担増」の議論が相次いで浮上する岸田文雄政権で、今度はサラリーマンの退職金が狙われている。終身雇用や年功序列など日本型の雇用慣行の転換を図ることを大義名分として、退職金への課税制度の見直しが検討されているのだ。標的になるのが、同じ企業に20年以上勤めるサラリーマンで、税制優遇措置の縮小や撤廃が予想されている。「退職金増税」は定年後の生活に大打撃となりかねない。

【表でみる】下落が止まらない岸田内閣の支持率

政府税制調査会(首相の諮問機関)は6月30日、同じ会社に長く勤めるほど退職金への課税が優遇される現行制度の見直しを検討するよう求める中期答申を岸田首相に提出した。政府が16日に閣議決定した経済財政運営の「骨太方針」と、成長戦略の「新しい資本主義実行計画」にも退職金課税の見直しが盛り込まれた。

現行制度は、退職金から控除額を引いた金額の2分の1に所得税と住民税が課せられる。控除額は、勤続20年以下の場合は「勤続年数×40万円」。勤続20年超になると、さらに「20年を超える勤続年数×70万円」が加わることで、支払う税金が目減りする。勤続30年の場合、退職金1500万円までは税金がかからない仕組みだ。

政府税調は答申のなかで「退職金の支給形態や労働市場の動向に応じて税制上も対応を検討する必要が生じている」と指摘している。

実際に見直すとどうなるか。国税庁の資料では、勤続30年で退職金を2500万円受け取るモデルケースの場合、所得税および復興特別所得税額は「58万4522円」となる。勤続20年以上の優遇措置がなくなったと仮定して夕刊フジが同じ条件で試算すると「89万822円」で、30万円以上も増えてしまうのだ。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は「退職金課税の見直しは、単なる増税目的に過ぎない。企業に30~40年勤め上げた50代には大きな打撃で、少しでも多く老後のたくわえを必要とするなかで、退職金が目減りする影響は大きい。再就職しても所得が好転するケースは官僚の天下りでもない限り、民間の大半ではめったに考えにくい」と強調する。

政府税調の答申では、退職金以外の所得控除について、フリーランスなどと比べ会社員の負担軽減効果が大きい仕組みの検証を要請した。共働き世帯よりも専業主婦の世帯の方が優遇されている現状にも触れ「働き方に中立的な税制」を求めている。

上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は「終身雇用や年功序列といった日本の雇用慣行は、好況時の人手不足の際に企業のアピール材料として盛り上がり、不況時にはやり玉にあがる形が長年続いてきた。現在は増税したいがために問題視しているだけではないか」といぶかる。

「雇用の流動化」を掲げる岸田政権が打ち出す税制の見直しは、総じて同じ会社でコツコツと長年勤めてきたサラリーマンを狙い撃ちする内容といえる。

田中氏は「政府が本来すべきことは景気を良くして人手不足の環境を作ることだ。長引いたデフレで現在の40~50代が転職したくても移れないような環境をつくっておきながら、いまになって長期で安定した働き方を否定するのは倫理的にも問題だ。景気が悪くなれば企業は経験が乏しい人を採用しなくなるリスクも考えられるので、雇用の流動化は図られるかもあやしい」と喝破した。

岸田首相は、「異次元の少子化対策」の財源についてはこれまで、「大前提として、消費税を含めた新たな税負担については考えていない」と述べている。一方で「社会保険料の上乗せ」や、「扶養控除の縮小」が浮上するなど、「ステルス増税」への懸念も強い。

政府税調の答申を受けて、税制を実際に見直すかどうかは、与党の税制調査会が毎年度の税制改正議論の過程で決める。秋にも予想される衆院選の後で、増税の議論が出てこないか、いまから注意深く見極める必要がありそうだ。

[ad_2]

Source link