【古典個展】大阪大名誉教授・加地伸行 「幸せ」訴えた各党だが


街頭演説を聞く有権者ら=20日午後、東京都千代田区の秋葉原駅前(佐藤徳昭撮影)

 今日は、参院選の投・開票日である。この約1カ月間、諸政党、諸候補者の政見をあれこれ聞いた。そのどれにも共通するものは〈国民の幸せ〉の追求。 なるほど。政権を担当するには、それが最大にして最終目的であろう。

 しかし、幸せと言うのでは範囲が広すぎ、抽象的だ。早い話が、物質的幸せは、まあ達成可能としても、精神的幸せとなると、これはもう他人の出る幕ではない。

 にもかかわらず、どの政党もどの候補者も、幸せいっぱいへの大合唱。天下泰平である。

 ではもし、突如、外国が侵略してきたらどうする。しかし国防問題を述べた候補者はほとんどいなかった。おそらく票にならないと踏んだからか。

 つまり、本当に大事な問題を避けての政権宣伝というところか、有(あ)り体(てい)に言えば。

 ところで、記事に出ていたが、今回、議員定数が6、増えている。

 と言うのは、このところ人口が変動しているのに、その人数に応じての議員定数になっていないとし、その是正を求めての結果、6増えたとのこと。

 本来ならば、人口減となった選挙区の議員定数の数を減らせばすむことだが、そういう話となると大騒動が必至。そこで人口増の選挙区が定数増となったとの話。一見、合理的。

 しかし、老生、疑問に思う。議員定数の議論には大前提がある。すなわち有権者全員が投票するという性善説である。この前提があるからこそ、それぞれの選挙区の人数に対応する議員の数を公平にすべしという話になれるわけだ。すなわち投票率百パーセントとしての話。

 けれども、投票率百パーセントなどという選挙区はない。それは虚構である。もっとも政府は期日前投票という制度を奨励して百に近づこうという努力をしてはいるが。

 となると、例えば10年間を基準にすると、国政選挙は5回はあるだろう。その5回すべて、あるいは8割において棄権した者は、以後10年間の投票権停止とすればいい。

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