米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

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CNNは「ウクライナが領土をどれだけ回復できるかは支払う犠牲の数に左右されるが、戦いに必要な武器や弾薬は西側諸国の支援に依存しているため、戦争の結末は外部要因に左右されるだろう。ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点だ」と指摘した。

一般的な世論は「時間がかかる理由」などに興味はなく「分かりやすい結果」のみを求めている

CNNは9日「ウクライナが奪われた領土をどれだけ回復できるかは支払う犠牲の数に左右されるが、戦いに必要な武器や弾薬は西側諸国の支援に依存しているため、戦争の結末は欧米やロシアの政治的要因、つまり外部要因に左右されることになり、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点だ」と指摘し、もし反攻作戦の進展がこのまま停滞して膠着状態に陥れば「2024年に大統領選挙が控えている米国は特に大きな影響を受けるだろう」と警告した。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Spencer Slocum

CNNが報じた内容を主要部分を中心に要約すると以下の通りになる。

米国人はNATOへの関与を復活させてウクライナを支援するバイデン大統領と、NATOに懐疑的でプーチン大統領の条件で24時間以内に戦争を終結させることができると公言するトランプ前大統領の衝突に備えており、仮にトランプ前大統領が共和党の大統領候補になれなくても、戦争に対する世論の支持が低下すれば再選を目指すバイデン大統領にとって不利になるしかない。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Monica Roybal

ゼレンスキー大統領は「占領された領土を全て回復するまで(もしくは交渉立場が優位になったタイミングでしか)ロシアとの和平交渉は行わない」と主張しているものの、戦いに必要な武器や弾薬は西側諸国の支援に依存しているため、ウクライナは「軍事的な理由」だけでなく「政治的な理由」からも戦場で結果を出すことが求められており、現在までの結果は完全に期待外れなので「ウクライナ軍の戦闘能力」「莫大な援助に対する米国人の意欲」「犠牲に対するロシアの寛容さ」といった戦争全体を支える計算式はさらに複雑になるだろう。

ウクライナ軍の戦闘能力に関する疑念は前回記事(進展のないウクライナ軍の反攻作戦、欧米当局者の間で広がる悲観的な評価)の内容なので省略するが、莫大な援助に対する米国人の意欲については「外交政策が大統領選挙の決め手になることは殆どなく、共和党の予備選挙でもウクライナとロシアの戦争は主要な争点に挙がっていないものの、早期投票が実施されるアイオワやニューハンプシャーでは一部党員が戦争問題を取り上げ、米国の寛容さに疑問を投げかけている」と指摘。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:The White House

先週の世論調査も「戦争を巡る政治的複雑さ」を浮き彫りにしており、有権者の55%が「議会はウクライナ支援の追加資金を承認すべきではない」と、51%が「もう十分な支援を行っている」と回答し、追加支援が必要と回答したのは48%で、特に共和党員の71%は「追加資金を承認すべきではない」と、民主党員の62%が「追加資金を承認すべき」と回答しているため、CNNは「ますます戦争に対する支持が二極化している。共和党が支配する下院の政治的力学がウクライナ支援の不安要素となり、反攻作戦の停滞が政治的惨事を引き起こす可能性がある」と危惧。

戦争に対する国民の支持が低下しているため、バイデン政権はウクライナ支援の必要性を説明しなければならず、この状況はトランプ前大統領にとって付け入る隙になり、もし予備選に敗れて共和党の大統領候補になれなくても「ウクライナ支持を高らかに訴える他の共和党候補」は人気がなく、CNNは「有権者が2024年末に自分達の将来を決める際、ウクライナの運命も決定づける可能性が高い=バイデン大統領とトランプ前大統領(もしくはウクライナ支持に否定的な候補者)の対決になるという意味」と予想した。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:PRESIDENT OF UKRAINE

和平交渉の開始条件をどこに設定するか、ロシア軍とどのように戦うかはウクライナが決定する要素だが、有利な和平交渉を行うためには軍事的な結果をプーチン大統領に突きつけなければならず、これを実行するには武器や弾薬を供給する西側諸国の支援に頼る必要があり、どこまで西側諸国が寛容さを示せるか=ウクライナに許される時間的猶予は世論の支持に直結している。

ウクライナは反攻作戦の初手で大損害を被ったため「犠牲を抑制する慎重な戦術=シンプルで時間のかかる方法」に戦い方を変更、この慎重な戦い方は犠牲を大幅に減らすことが出来たものの「約300mの区間を解放するのに1ヶ月半かかる」と前線で戦う兵士が述べており、ロシア軍の防衛ラインを突破するには相当時間がかかると見られているが、一般的な世論は「時間がかかる理由」などに興味はなく「分かりやすい結果」を求めているため、結果を出せないまま時間がかかると「(ハルキウ反撃と比較して)反攻作戦は失敗だった」と判断するかもしれない。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:Генеральний штаб ЗСУ

そうなれば西側諸国の寛容さの土台となっていた支持が低下するため、これがどの様な結果を生むかは説明する必要もないだろう。

結局、この事態を高確率で回避するには「一刻も早くロシア軍の防衛ラインを突破できる=西側諸国の支援は無駄になっていない」と示す必要があり、限られた時間の中で結果を出すためのは「より多くの犠牲と引き換えに前に進む(これが何を示唆しているかは敢えて言及しない)」という選択肢しかなく、これはウクライナ自身=ゼレンスキー大統領の決断にかかっている。

米紙、ウクライナにとって最大の悲劇は運命を自らの手で決定できない点

出典:pixabay

反攻作戦の進展に時間がかかると世論が理解して「西側諸国の寛容さは失われない」という方に賭けるのも、世論が求めている結果を示すため「より多くの犠牲を受け入れる」と方針を変更するのもウクライナが決めることだが、この気まぐれな世論の支持でウクライナ支援が成立しているもの事実だ。

だからこそCNNが「ウクライナにとって最大の悲劇は自らの手で運命を決定できない点だ」と指摘しているのかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:3-тя окрема штурмова бригада

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