(写真:朝鮮日報日本語版) ▲故イ・ジヒョンさん。写真提供=韓国臓器組織提供院
【NEWSIS】伝統楽器・奚琴(ヘグム)の演奏者として活動していた20代の女性が突然倒れて脳死と判定され、臓器提供により3人の命を救った後、この世を去った。
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これは、韓国臓器組織提供院が10日に、「脳死状態だったイ・ジヒョンさんが建陽大学病院で肝臓と腎臓(左右それぞれ)を3人に提供して先月30日に死亡した」と発表して明らかになったものだ。イ・ジヒョンさんは24歳だった。
イ・ジヒョンさんは先月5日、仕事を終えて就寝の支度をしていたところ、突然倒れた。急いで病院に搬送され、治療を受けたが、意識が回復することなく脳死状態に陥った。
臓器提供希望登録者だったイ・ジヒョンさんの両親は「普段から臓器提供に関心があった。娘の人生は短いものだったが、最後に命を救えれば」と考え、臓器提供に同意した。娘の体の一部がどこかで生きていることが家族に慰めにもなるだろうと考えたという。
大田市で2人姉妹の妹として生まれたイ・ジヒョンさんは明るく優しい性格で、家族に愛された。仕事を終えて帰ってくると、食事も自分で用意するなど親孝行だった。牧園大学韓国音楽科を卒業した後、中央大学芸術大学院で芸術経営学科修士課程を修了し、各地で奚琴奏者として活動した。
イ・ジヒョンさんは高校時代、父親が好きだった時代劇『推奴~チュノ~』(2010年)に挿入された奚琴の曲が大好きで、国楽(韓国伝統音楽)に関心を持つようになったという。ほかの演奏者たちよりも遅く始めた奚琴の演奏だったが、一生懸命努力して関連学科に進学し、多くの人々に国楽と奚琴を知ってほしいという夢を抱いていた。
イ・ジヒョンさんの姉ウンジさんは「一緒に過ごした思い出を一生胸に抱いて生きていく」「次の人生でも家族として末長く一緒に過ごそう。愛している」と最後のメッセージをつづった。
韓国臓器組織提供院のムン・インソン院長は「音楽を愛し、好きな国楽を広めたいというイ・ジヒョンさんの夢が多くの方々の心に伝わってほしい」「大切な命の分かち合いにより3人が救われた。臓器提供者とご遺族の温かい気持ちを今後も大切にしたい」と語った。
イ・ジヒョンさんが奚琴を演奏する姿や遺族のインタビュー動画は、韓国臓器組織提供院公式ユーチューブで公開されている。
ペク・ヨンミ記者