勢いよく泳ぎ出す大群のクロマグロ 定置網漁に同行ルポ 泣く泣く網から逃がす実情は…

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定置網に入ったクロマグロ。網の上部を下げると一気に逃げていった=7日午前5時ごろ、石巻市の網地島沖

【動画】大漁のクロマグロは”厄介者”? 宮城・石巻沖の定置網漁

 横付けした作業船がウインチで網を引き上げると、無数の黒い魚体が暴れだし、激しい水しぶきが上がった。

 7日早朝、石巻市の網地島の南東に仕掛けられた定置網「新網」。「1000匹はいるな」。漁を仕切る山根漁業部(宮古市)の大謀(漁労長)、山根睦寛さん(53)がぼやいた。ブリやサバ、イワシなどが、この時期の本来の獲物だ。

 すしだねや刺し身として人気の高いクロマグロだが、このまま水揚げすることはできない。山根漁業部が牡鹿半島周辺に設置する四つの定置網に割り当てられた漁獲枠(計4・3トン)は、7月中旬にほとんど使い切ったからだ。

 「クレーン下ろせー」。山根さんが号令をかけた。乗組員が土のうを使って網の上部を沈め、幅3メートルほどの「逃げ道」をつくった。数え切れないほどのマグロが列をなし、イワシやサバとともに網の外に一気に泳いで行った。

 山根さんによると、漁獲枠を超えるマグロが網に入るようになったのは3、4年ほど前。春から夏にかけては10キロ程度の小型が大半という。資源の回復に加え、海水温の上昇による分布域の変化も影響しているとみる。

 逃げ道を元に戻した後、さらに網を引き上げ、本来の水揚げが始まった。網に残ったマグロも多い。乗組員が網に手を突っ込んでマグロの尾をつかみ、海に返す作業を繰り返した。

 「逃げ損ねたのは傷ついているものが多い。生き延びられないのではないか」と山根さん。死んだマグロも持ち帰ることはできず、法律で不法投棄が問われない沖合にわざわざ出て「放流」することもあるという。

■世界的なマグロ資源は回復 でも定置網漁獲枠は据え置き 漁師「海に戻すのはばかげた漁」

 大平洋クロマグロは、乱獲などで2010年に親魚の資源量が約1万8000トンと過去最低を記録した。日米などが加盟する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は15年に漁獲枠を設ける国際的な規制を導入。20年には約6万5000トンに回復した。巻き網漁業などが対象の大型魚(30キロ以上)は22年から漁獲枠が15%増えたが、定置網などの小型魚(30キロ未満)は据え置かれている。

 牡鹿半島周辺の定置網では年間3000~4000トンのクロマグロが放流されているという推計もある。山根さんは「定置網は巻き網などと違って受け身の漁業。マグロを海に戻すのは『ばかげた漁』だ。実態に見合った漁獲枠の配分をお願いしたい」と話した。

河北新報

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