エスカレーターに立ち止まって乗ってたら…後ろから「邪魔だよ」 手足3本失った男の疑問「僕は悪いことをしたのか?」

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右手と両足を切断した山田千紘さん

【写真】義手と分かりづらい?長袖を着た山田千紘さん

 「片側を空ける」という「暗黙のルール」が原因で起きたことだった。謝りながら前へ通したものの、直後に「僕は悪いことをしたのかな?」と疑問を抱いた山田さん。その体験を機に、エスカレーターの在り方を考えた。一体何が起き、何を感じたのか。山田さんが語った。

 【連載】山田千紘の「プラスを数える」~手足3本失った僕が気づいたこと~ (この連載では、身体障害の当事者である山田千紘さんが社会や日常の中で気づいたことなどを、自身の視点から述べています。)

■「どけよ」舌打ちも

 僕は両足義足で歩いていて、階段の上り下りもできるけど、エスカレーターがあれば楽なので使います。

 エスカレーターには「片側を空ける」という「暗黙のルール」がありますね。一方は立ち止まって乗り、空けたもう一方は歩いていい、というのが多くの人の共通認識だと思います。これで疑問を感じた出来事がありました。

 僕が住んでいる東京では、みんな左側に寄り、右側を空けるのが一般的です。僕は右手がなく、左手はあるので、エスカレーターでは左側に寄れる方が手すりを掴みやすく、バランスを取りやすいです。駆け上がったり駆け下りたりはしません。

 関西へ行った時、みんな右側に寄って乗っていたので驚きました。他の人にならって僕も右側に寄って乗りますが、そうすると、左手を右側にクロスさせて手すりを掴む格好になります。乗ることはできるけど、左側に寄れる方が楽なのは間違いないです。

 大阪を訪れた時のことでした。エスカレーターで多くの人が右側に寄っていたけど、左側で立ち止まって乗っている人も2~3人いました。時々こういう状況になることがありますよね。「今このエスカレーターは左右どちらも立ち止まって乗っていいんだ」と思いました。すぐ後ろに人が並んでいるのも見えなかったので、僕は楽な左側に寄って、左手で手すりを掴んで乗りました。

 そうしたら、乗る時には見えなかった人がすぐ後ろまで来ていて、「邪魔だよ。どけよ」と言われました。舌打ちもされました。僕は咄嗟に「すみません」と謝って、どうにかバランスを取りながら右側に避けて、通ってもらいました。その人は前の数人も同じようにどけていきました。

 僕は半ズボンだったので、両足の義足は見えていたと思います。でも長袖だったので、装飾義手をつけているのは見えなかったかもしれません。エスカレーターだから「右手がなくて義手なので、左側の方が乗りやすいです」などと説明している時間もありませんでした。

 その後、冷静になって思いました。「僕は悪いことをしたのか? どかないといけなかったのかな? 迷惑だった?」。さらに「そもそもエスカレーターって歩いて使うべきものなのだろうか」などと考えたら、モヤモヤしてしまいました。

 エレベーターを使うことについては、車椅子やベビーカー利用者、高齢者など、もっとエレベーターの優先順位が高い人がいます。もちろんエレベーターに乗ることもありますが、僕はエスカレーターにも問題なく乗ることができるので、あれば使っています。

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