南シナ海を騒がせる「海上民兵」 中国政府は存在を否定

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南シナ海を騒がせる「海上民兵」 中国政府は存在を否定

アユンギン礁のフィリピン座礁船「シエラマドレ号」=4月23日

【映像】中国船、フィリピン船に放水銃使用

だが、この事案を収めた映像を詳しくみれば、間違いなく、より一層衝撃的なものが細部に潜んでいる。専門家によれば、中国政府の「リトル・ブルー・メン」とも呼ばれる海上民兵と中国軍とのつながりを示す、これまでで最も説得力のある証拠だ。

フィリピンが提供した今月5日の事件の映像には、フィリピンの船が南沙(英語名・スプラトリー)諸島のアユンギン(英語名・セカンド・トーマス)礁にある隔絶された軍事拠点に物資を供給するのを、複数の中国船舶が妨害しているようすが写っている。関与した中国船の多くには「中国海警局」と記されているが、船団には漁船と思しき青い船が少なくとも2隻写っている。

フィリピンや米国および西側諸国の海上安全保障の専門家は、これらの船が中国政府の支配下にある海上民兵だと考えている。専門家によれば、こうした海上民兵の船は数百隻強に上り、中国が南シナ海および周辺で領有県を主張する際に、非正規の(表向きには否定できる)軍隊として活動しているという。

専門家によれば、これらの船は2021年に、やはりフィリピンが南沙諸島で領有権を主張するウィットサン礁に220隻もの船で集まった同じ勢力の一部だ。

フィリピン沿岸警備隊の広報担当者ジェイ・タリエラ氏は先週の記者会見で、「今回の活動に限って言えば、中国の漁船が単なる漁船ではなく、中国海警局の命令を受けて我が国の補給作業の妨害活動を支援した海上民兵だと結論づけられる」と述べた。

最新の事例は、中国とフィリピンが長らく領有権を争っていたアユンギン礁で、フィリピンが駐留する海兵隊への補給を試みた際に発生した。

陸地から遠く離れたアユンギン礁は、中国本土の南端から620マイル(約998キロ)以上、フィリピンのパラワン島からは120マイル(約193キロ)ほどの場所にある。

フィリピンは1999年、第2次世界大戦時代の戦艦「シエラマドレ号」をアユンギン礁に座礁させて領有権を主張し、現在も海兵隊員を駐留させている。だが船が孤立状態で老朽化していることから、妨害行為を行うことが比較的容易になっている。

中国は5日の対立後、フィリピンはアユンギン礁に船を座礁させ、中国の主権を侵害していると主張した。

「フィリピン側は『座礁した』戦艦を引き揚げると度々約束しておきながら、すでに24年が経過した。フィリピンは戦艦を引き揚げないばかりか、仁愛礁を恒久的に占拠しようと大規模な修復・補強を試みた」。中国海警局は声明でこのように述べ、アユンギン礁を中国の名称で呼んだ。

中国は、5日の行動について、「プロ意識を持った節度ある行為だった。非難されるいわれはない」と述べた。

CNNはこの件について追加でコメントを求めたが、中国当局からは返答はなかった。

南シナ海ではアユンギン礁以外にも、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、台湾が領有権を主張する地域が他にもたくさんある。だが中国の主張は桁違いの規模だ。2016年にハーグの国際司法裁判所から却下されたにもかかわらず、中国は南シナ海130万平方マイル(約337平方キロ)にわたって領有権を主張している。

中国はこの20年間、南シナ海で数多くの岩礁や環礁を占領し、滑走路や港などの軍事拠点を建設している。

西側諸国の専門家は、民兵とみられる集団について、軍隊とみなすべきだと警告している。これらの数百隻の船舶は、中国人民解放軍の資金援助を受け、支配下に置かれているとみられている。専門家によれば、ウィットサン礁の件でも明らかなように、民兵が単独、または海警局や人民解放軍海軍と連携して行動を起こし、領有権が争われている岩礁や島を速やかに包囲する可能性もあるという。

民兵と疑われる船が映像に収められたのは今回が初めてではないものの、多くの専門家は中国軍と民兵の協力度合いを最も強く示す事例のひとつだと考えている。そうした相互関係がより鮮明になったのが21年だ。この年、中国海警局は中国中央軍事委員会の管轄となり、実質的に中国軍の一部に組み込まれた。

「(中国が)事前の計画やリアルタイムの交信なしに、あの作戦を成功させることはできない」。米国防省の元職員で、現在はアジア・ソサエティ政策研究所中国分析センターの上級研究員を務め得るライル・モリス氏はこう語る。

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