【ソウル=名村隆寛】韓国産業通商資源省は22日、スイス・ジュネーブで23、24両日に開かれる世界貿易機関(WTO)の一般理事会に、同省の金勝鎬(キム・スンホ)新通商秩序戦略室長を首席代表として出席させると発表した。日本が外務省の山上信吾経済局長を派遣することへの対抗措置とみられる。
理事会では、韓国の要請により日本の半導体材料の対韓輸出管理厳格化が議題となる。金氏は日本の措置がWTOの規範に違反しているとし、日本の措置が不当であると、国際世論に訴える構えだ。
WTOでの勤務経験がある金氏は今年4月、韓国による福島など8県の水産物の禁輸措置をめぐるWTO上訴審で1審判断を覆し、禁輸措置を妥当とする判断を引き出したとして韓国国内で評価されている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は22日、大統領府での会議で「韓国は多くの産業分野で日本の絶対優位を一つずつ克服して追い越してきた。われわれはできる」とし、材料輸入先の多角化や国産化を通じて、日本の措置に対抗するよう訴えた。
文氏は、「困難をむしろ機会にし、部品・材料産業の競争力強化と製造業革新に国家的支援を惜しまない」と断言。大企業に対して、「中小企業との共生協力を強化してほしい」と訴えた。また、国内観光を通じた内需拡大も呼びかけた。
一方、韓国国会の外交統一委員会は22日、半導体材料の対韓輸出管理厳格化の撤回を日本政府に促す決議案を全会一致で採択した。