暴力団幹部の死去めぐり、沖縄市役所と琉球新報が批判応酬


暴力団幹部への弔電送付をめぐり、琉球新報に抗議した沖縄市の桑江朝千夫市長=23日午後、沖縄市役所

 沖縄県で暴力団幹部の死去をめぐり、市役所と地元紙が批判を応酬する事態になっている。沖縄県沖縄市が暴力団幹部に弔電を送ったことについて、琉球新報が「認識の甘さ露呈」と批判したのに対し、市は弔電を送った原因は地元紙の告別式広告だとして「自分たちの責任には言及せず、一方的に市だけを批判したのは不公平だ」と抗議した。

 問題となったのは、今月12日に死去した指定暴力団旭琉会の富永清会長に市が送った弔電。琉球新報は20日付朝刊で事実を報じ、「暴力団にとって葬儀は『義理がけ』と言い、組織の勢力を誇示する機会となっている。公人から弔電を送られたとなれば、反社会的勢力が市民の一人として認められた形になる」と批判する識者談話を掲載した。

 市は産経新聞の取材に対し、弔電を送ったのは琉球新報と沖縄タイムスの15日付朝刊で富永氏の告別式広告が掲載されたからだと説明。市によると、平日は市職員がチェックした上で弔電を送るが、土日祝日は地元紙の告別式広告に掲載された市内在住者へ自動的に弔電を送るよう郵便局に依頼しているという。沖縄市の桑江朝千夫(さちお)市長は「(地元紙の)告別式広告では旭琉会会長だということは分かりようがない」と述べた。

 桑江氏は22日、琉球新報中部支社に対し、批判は一方的だとして抗議した。琉球新報は「一般の方である喪家から申し込みをいただき、指定暴力団による組織としての葬儀ではなく、ご家族が喪主の一般葬であるとの認識で掲載した」と回答し、問題はなかったとの立場だ。

 市は警察に協力を依頼するなど再発防止策を検討している。琉球新報は23日、産経新聞の取材に「沖縄市の弔電に(広告の)影響があったかどうかについては沖縄市の判断であり、当方としてはお答えいたしかねます」と答えた。



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