クピャンスク、スバトボ、リマンの攻防、ロシア軍の成功なし

出典:GoogleMap クピャンスク周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ウクライナのマリャル国防次官は、「過去2週間の間にクピャンスク〜リマン方面での戦闘が激化したものの、ロシア軍は何も成功していない」と述べました。クピャンスクでの前進を示す視覚的証拠はほとんどなく、「成功していない」との主張が正しい可能性があります。

ロシア人の報告には注意が必要

出典:Русской весны

ウクライナ東部戦線(クピャンスク方面、スバトボ方面、リマン方面)の状況は明確ではありません。ウクライナ軍の提供する情報は不十分であり、観測者の多くは主にロシア人の報告に基づいて戦況を推測しています。しかし、ウクライナのマリャル国防次官は「過去2週間の間にクピャンスク〜リマン方面での戦闘が激化したものの、敵は何も成功していない」と明言しています。

ロシア人によるクピャンスク方面の戦況は、ロシア軍がライマン・パーシイとヴィルシャナからシンキフカを制圧するため南下しているとされています。しかし、「シンキフカ集落内の大半はグレーゾーンになっているものの、集落の南エリアはウクライナ軍が保持している」との評価が主流です。一方で、マリャル国防次官はクピャンスク方面について「ロシア軍がシンキフカやペトロパブロフカの東に前進を試みたが、全ての戦闘は敵の敗北で終わり、前進できなかった」と説明しています。

この戦況図は2023年1月1日から8月23日までの視覚的証拠を示しており、他の戦線と比べて数が少なく、正確な数は不明ですが、バフムート方面の1/100やリマン方面の1/10程度しかありません。8月に登場した視覚的証拠(黄色の円)もわずか19個です。

ロシア軍の報告には注意が必要

出典:GoogleMap スバトボ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ロシア人の報告には、偽情報が含まれていることに注意が必要です。例えば、2月にはシンキフカが制圧されたという情報が拡散されましたが、結局はフェイクでした。最近も、ロシア人軍事特派員が「クピャンスク近郊のシンキフカを解放した」と報告し、映像が公開されましたが、実際にはシンキフカではなく別の集落でした。

スバトボ方面のロシア軍の突破も、最初は「ゼレベツ川を渡河したロシア軍がハルキウ州の州境に迫っている」と報告されていましたが、実際には大規模な突破ではなく、ウクライナ軍の反撃で押し戻されました。ロシア軍が確保したのは、ライホロトカの対岸にあるセルヒフカのみです。

決定的な動きはまだ見られず

出典:GoogleMap クレミンナ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

リマン方面では、クレミンナ周辺の森林地帯や広大な農地を巡る戦いが続いています。しかし、ロシア軍によるトルスケ方向への突破は失敗し、スピルネ方面への突破も多くの戦車や装甲車両の損失で終わりました。現在も決定的な動きは見られず、戦いは続いています。

結論

両軍とも東部戦線に10万以上の兵力を展開し、局地的な戦闘を続けています。しかし、大規模な機械化部隊による突破はまだ起こっていません。クピャンスク方面でのロシア軍の攻勢は強化されていますが、クレミンナ周辺の森林地帯での戦いと似た展開かもしれません。

ロシア軍の報告には嘘が含まれている可能性があります。そのため、提供される情報や視覚的証拠は慎重に検証する必要があります。ウクライナ南部やバフムート方面の状況を知る上では、ロシア人の情報が貴重ですが、真実と嘘を見極めながら付き合っていく必要があります。

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