日本の家族生活に暗い影、「背中全体にあざ、6歳児死亡」

閉ざされた異様な家族の暮らし、虐待疑惑に寄せられた通報もなく、神戸

穂坂修ちゃんと、母親の沙喜容疑者らが暮らしていた集合住宅=23日午後、神戸市西区

6月19日の夕方、神戸市内の気温は28度に達していました。それにもかかわらず、厚めの長袖上着にフードをかぶった4人組が、スーツケースを引いて同市西区の住宅地を歩いていました。

当日、散歩をしていた80歳の女性は、その奇妙な姿を目撃しました。「いつも人に会ったら自分から挨拶するけど、なんか変な感じがして声をかけられなかったの」

この奇妙な一団は防犯カメラにも映っていました。うちわで顔をあおぎながら、ぞろぞろと進んでいく4人組。スーツケースの中には、6歳の穂坂修ちゃんの遺体が入っていたとされています。

逮捕された4人の家族構成

  • 母親: 沙喜容疑者(34歳)
  • 叔父: 大地容疑者(32歳)
  • 叔母(双子の姉妹): 朝美容疑者(30歳)
  • 叔母(双子の姉妹): 朝華容疑者(30歳)

この4人は穂坂修ちゃんを殺害し、自宅から1キロ離れた草むらに遺体を遺棄した疑いで逮捕されました。

4人はスーツケースを草むらに置いた後、自分たちの母親である修ちゃんの祖母(57歳)を自宅に閉じ込め、京都や大阪を渡り歩いたとされています。逃げるつもりだったのかは分かりません。

結局、逃げ出した祖母が保護され、4人に暴力を振るわれて監禁されたと話しました。4人は22日、神戸・三宮センター街であっさりと見つかりました。修ちゃんの所在を問われた沙喜容疑者が捜査員を案内し、草むらのスーツケースから遺体が見つかりました。

修ちゃんの背中には、殴られた痕跡のあざが全体に広がっていました。

一家が暮らしていた異様な環境

一家は2階建ての集合住宅の一室に暮らしていました。裏手の庭には粘着テープをべったりと貼られたままの冷蔵庫が横倒しに放置されていました。まるで別世界のような光景でした。

近隣住民によると、一家の生活は不可解でした。いつも大勢で外出し、誰も目を合わせず挨拶もしないのです。74歳の女性は「窓も開けず、どんな生活をしているのか一切感じ取れませんでした」と述べています。

一家は周囲との関わりを避けるように暮らしていたため、近隣の人々も関わることを避けました。閉ざされた空間の内部で、修ちゃんは命を失うことになりましたが、虐待を疑う通報は行政に寄せられませんでした。

家族の知的障害と事件の関連性

「健常者が寄ってたかって小さい子どもを殴って殺したというような、単純な話ではありません」と、事件に関与した捜査関係者の一人が語りました。

この一家の事件を理解するためには、無視できない要素があります。取材によれば、逮捕された4人は全員が療育手帳を持っていました。療育手帳は、知的障害がある人々が相談や福祉サービスを受けやすくするために交付されるものです。

現在、神戸地検は4人の容疑者を鑑定留置し、裁判で刑事責任を問えるかどうかの判断を下そうとしています。また、神戸市は第三者委員会を設置し、市の関与について検証を行う予定です。

この一家は生活保護と障害年金で生活しており、修ちゃんは児童福祉法上の「要保護児童」として認識されていました。本来ならば行政が家庭の状況を把握し、さまざまな支援を行うことが求められるはずの家庭で、悲劇が起きてしまいました。

神戸の事件から考える大切なこと

神戸市西区で6歳の男児が亡くなり、母親と兄弟姉妹の計4人が逮捕された事件から2カ月が経ちました。

なぜ、貴重な命が奪われてしまったのでしょうか。同じような悲劇を繰り返さないために、行政や地域社会はどのような対策を講じるべきなのでしょうか。この事件の経緯を検証し、考える必要があります。(事件取材班)

ソースリンク: 日本ニュース24時間