GCAP参加により、サウジは巨額の資金で英国とイタリアを買収可能との予想が浮上。一方、日本は未知数。

日本と英国のGCAP要求には違いがあり、その差を埋められるのかがポイント

英国のスナク首相とサウジアラビアのサルマン皇太子はオンライン協議を行い、貿易、投資、防衛、安全保障協力について話し合った。ダウニング街も両国の協力関係を前進させることを表明し、サルマン皇太子には年内のロンドン訪問を要請したと伝えられている。

Rishi Sunak
出典:Rishi Sunak

MENA地域の防衛市場を分析するTactical Reportによれば、サウジのGCAP参加に関連した協議が行われる見込みであり、英国とサウジアラビアの関係でどのような話し合いが行われるか注目されている。また、英国のShephardは、防衛市場の動向を報じ、サウジのGCAP参加について興味深い指摘を披露した。

イザベラ・アンティノッツィ氏は英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の取材に応じ、サウジがGCAPにもたらす貢献は資金のみであり、英国とイタリアはアフォーダビリティの向上に貢献しうるサウジのプログラム参加に前向きである一方、日本はアフォーダビリティの向上に興味がなく、プログラムの着実な前進と確実な協力関係に主眼を置いていると語った。また、日本の関係者は2035年に対する切迫感と緊張感を訴え、これに妨げる要素に反対しているとも述べた。

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出典:BAE

Shephardはさらに、日本がイタリアのGCAP参加にも反対し、GCAPが英国との二国間プログラムであることを望んでいたため、イタリアは日本との関係を強化しなければならなかったと指摘し、新たなメンバーを加えることはプログラムの意思決定を遅らせる可能性があるとも述べた。アンティノッツィ氏は、スムーズで成功したメンバー追加に関しては国際共同開発の歴史を知らない人々だけがそれを考えていると付け加えた。

しかし、ハーマン・クレイセン氏はBAEでテンペストプログラムの責任者を務めており、「サウジとの関係を維持したい」との考えを述べている。また、英産業界もサウジ参加を支持しており、有益な商業的機会を求めている。

Ministry of Defence
出典:Ministry of Defence

結局のところ、日本と英国は異なる背景を持っている。日本は装備品の共同開発や海外輸出を行わず、割高な防衛装備品を調達することを容認してきた一方、英国はアフォーダビリティの向上と産業界の商業的機会を追求してきた。そのため、GCAPに関する各要素のバランスには温度差があり、このバランスを上手く調整することが鍵となるだろう。

アンティノッツィ氏は、「サウジはGCAP参加のために過剰な支払いを提示するかもしれない。これにより、英国とイタリアを買収する可能性が高いが、日本の動向は不透明である。日本が受け入れ可能な範囲は、英国とサウジの二国間協力、つまり一部の技術開発やサブシステムの協力に限られるだろう。GCAP参加は英国だけでなくサウジ自身が主導しているが、この提案は英国の中東における永続的な影響力に繋がる可能性があるため、魅力的な提案である」と述べた。

英メディアはサウジのGCAP参加を概ね支持し、日本人アナリストは反対理由を説明している。サウジアラビアのGCAP参加に関しては、英国と利害が一致しており、戦闘機分野における協力関係を強化することが約束されている。サウジアラビアは英国主導のFCASプログラムであるテンペスト開発にも参加している。

※アイキャッチ画像の出典:防衛省 次期戦闘機のイメージ

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