残酷な暑さが命を奪う
アメリカではこの夏、猛暑のために数百人が亡くなっています。終わりの見えない暑さは、ケンタッキー州やテキサス州を襲っています。とりわけエアコンにアクセスできないという理由で多くの命が失われています。
アメリカの猛暑
アメリカは今年の夏、異常な猛暑に見舞われました。エアコンにアクセスできない人々が暑さのために命を落としています。2023年7月は史上最も暑い7月となりました。そして、暑さはまだ終わっていません。
ケンタッキー州の厳しい気温
先週、ケンタッキー州ルイビルでは最高気温が華氏90度（摂氏約32度）を超えました。今週も90度台半ばの予想ですが、現地のCBS系テレビ局WLKYによると、一週間中ずっと摂氏100度から110度（約38度から43度）のように感じられると報じられています。
テキサス州の記録的な猛暑
テキサス州もこの夏は特に暑いです。オースティンでは連続34日間、100度を超える日が続きました。ダラスでも3日連続で記録的な猛暑が観測されました。エルパソではこの夏、56日間で100度を超える日が記録され、テキサス州史上3番目に多い数となりました。
さまざまな命の犠牲
CNNによれば、今年のアメリカではわずか5つの郡だけでも少なくとも147人が猛暑で命を落としています。ただし、調査中の死亡者もあるため、実際の犠牲者数はさらに多いと考えられています。アリゾナ州のマリコパ郡では、8月7日時点で少なくとも39人が暑さのために死亡し、312人の死因が調査中であると報じられています。
エアコンへのアクセスの欠如
これらの犠牲者の多くは、エアコンにアクセスできない状況にありました。例えば、ケンタッキー州ルイビル在住の17歳のChristian Ruhenkenyaさんは、自宅のエアコンが故障していたため、車中で過ごしていたところ、命を落としてしまいました。Christianさんの弟がNBC系列の地元テレビ局WAVEに語ったところによれば、Christianさんはエアコンをつけたまま車の中で眠っていました。現在、Christianさんの死因はまだ特定されていませんが、専門家はエンジンをかけた車の中での睡眠は避けるようにアドバイスしています。なぜなら、一酸化炭素中毒のリスクがあるからです。
6月24日には、テキサス州ハリス郡の自宅で67歳のVictor Ramosさんが意識不明の状態で発見されました。Ramosさんの自宅のエアコンも故障していました。その後、Ramosさんは病院で亡くなりました。Ramosさんの家族は、ABC系列の地元テレビ局WFAAに対して、Ramosさんは最近失業しており、エアコンの修理費用を捻出する余裕がなかったと語りました。
6月16日には、テキサス州ヒューストン近郊のトレーラーハウスで、71歳のRamona Isonさんと72歳のMonway Isonさんが亡くなっているのが見つかりました。トレーラーハウスのエアコンも壊れていたのです。
2人の娘であるRoxana Floodsさんによれば、両親は経済的な理由でエアコンの修理ができなかったとのことです。Floodsさんは現在、エアコンなしで猛暑を乗り切る危険性についての啓発活動を行っています。
Floodsさんは「自分たちの両親に起きたことは、誰にでも起こりうることだと感じています」と語っています。そして、「熱中症や熱射病だけでなく、暑さに対する正しい認識と対策を広める必要があると思っています」と述べています。
