中国発表の新地図、「領土」「領海」表記でアジア各国反発

中国国旗

中国政府が発表した新しい地図が、アジアの周辺国から反発を受けています。南シナ海やインド北東部などの係争地が「領海」「領土」として示されたため、今月開催されるアジアの国際会議では、領土問題に関する対立が想定されています。

中国地図に反発するアジア各国

地図では、中国は南シナ海の90%を「領海」と主張しています。さらに、中国は南シナ海の領有権を示す「九段線」に加えて、「十段線」として台湾の東側に計10本の線を引いています。

フィリピンはスプラトリー諸島(南沙諸島)が「中国領」とされたことに強く反発し、中国からの地図を拒否する姿勢を示しました。フィリピンは、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が2016年に下した判決で「九段線」の法的根拠を否定したことに基づき、中国に対して国際的な法の尊重を求めています。

インドネシアでは、ルトノ・マルスディ外相が「いかなる主張も国連海洋法条約に従わなければならない」と述べました。同国のナトゥナ諸島は南シナ海の南端に位置し、中国が設定した境界線と重なっています。この地域では最近、中国船の活動が目立っています。

さらに、中国と国境問題を抱えるインドも反発しています。中国が実効支配するカシミール地方のアクサイチンと、インド北東部のアルナチャルプラデシュ州の一部が「領土」とされたことに対し、ジャイシャンカル印外相は「こんな筋の通らない主張によって、他人の領土が自分のものになることはない」と反発しました。

南シナ海の紛争防止に向けた議論

南シナ海の紛争防止を目指す「行動規範」については、中国と各国が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で議論する予定です。しかし、中国地図を巡る対立が先鋭化する恐れもあります。

参考リンク:日本ニュース24時間