台湾軍は18日、中国からの武力侵攻を想定した年次恒例の大規模軍事演習「漢光演習」を終了しました。今回は過去最長の10日間にわたり実施され、多数の予備役を動員するなど、その規模を大幅に拡大。有事における実戦対応能力の向上と、台湾の防衛決意を国内外に示す機会となりました。
「漢光演習」の過去最大規模と戦略的特徴
今回の「漢光演習」は、会期が昨年の2倍にあたる10日間と、過去最長の期間を確保しました。さらに、約2万2000人という史上最多の予備役が動員され、演習全体の規模がこれまでにないほどに拡大された点が特徴です。これにより、台湾軍は有事における迅速な部隊展開と持久戦能力の強化を図るとともに、常備軍と予備役との連携を深めました。演習では、都市部での防空訓練の一環として、地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」が公園に配置されるなど、現実的なシナリオが盛り込まれました。
台北の公園に配備された台湾軍の地対空迎撃ミサイル「パトリオット」。2024年「漢光演習」での防空訓練を示す。
初めて実施された民間人防空訓練の意義
今回の演習では、有事を想定した民間人の防空訓練が初めて軍事演習と同時並行で実施されました。これは、中国の侵攻が現実となった際に、軍だけでなく民間人も含めた「全民防衛」の概念を強化し、社会全体の抗戦意識と対応能力を高めることを目的としています。市民が具体的な避難経路や緊急時の行動を学ぶことで、大規模な混乱を避け、被害を最小限に抑えるための重要なステップとなりました。
顧立雄国防部長による演習評価と台湾の決意
演習終了に際し、台湾の顧立雄国防部長は18日、「わずかな土地も譲らない軍の決意を対外的にはっきり伝えた」と述べ、今回の演習の成果を高く評価しました。これは、中国による軍事的圧力が高まる中、台湾が自らの防衛能力を継続的に強化し、主権と安全保障を断固として守り抜くという強いメッセージを国際社会に発するものです。
結論
「漢光演習」の成功裏の終了は、台湾が変化する地域情勢に対応し、自衛力を不断に強化していく姿勢を示しています。特に、過去最大の規模と民間人訓練の導入は、中国の武力侵攻という最悪のシナリオに対する台湾の具体的な準備と強い意志を明確に表しており、今後の両岸関係および地域の安全保障における重要な指標となるでしょう。