夏のウクライナ軍の反攻作戦:忍耐力と適用力の戦い

軍事アナリストのロブ・リー氏とマイケル・コフマン氏がウクライナ南部を訪れ、夏の反攻作戦について共同で総括を発表しました。「火力管制による兵站遮断は実現困難だ」という指摘もあり、アゾフ海に到達してロシア軍の兵站を物理的に遮断する必要があると指摘されています。

「火力管制による兵站遮断が実質的に困難」という指摘に興味

著名な軍事アナリストたちは、6月に行われた反攻作戦の視察を通じてザポリージャやドンバスを訪れ、外交政策研究所のロブ・リー氏とカーネギー基金のマイケル・コフマン氏は約3ヶ月間の戦いを総括した「PERSEVERANCE AND ADAPTATION: UKRAINE’S COUNTEROFFENSIVE AT THREE MONTHS」を共同で発表しました。

この総括による主要なポイントは以下の通りです。

  • 反攻作戦の主目標は、ザポリージャ州オレホボを経由してメリトポリに到達し、ロシア軍の兵站を遮断することです。これによってロシア軍を南部と東部に分断できることが期待されています。また、ヴェリカ・ノヴォシルカ軸ではベルジャンシクに到達することが目標となっています。

  • 戦場では映画のような攻撃は行われず、ウクライナ軍兵士たちは密集した地雷原を突破し、森林ゾーンを奪い合っています。この戦場では戦車や歩兵戦闘車ではなく、大砲や無人機が支配しているのです。

  • 反攻作戦に対する西側諸国の批判は、大規模編成の制約を理解していないと指摘されています。ウクライナ軍は大編成の戦力投入を行わず、「犠牲者を出さない」という考えに基づいて行動しています。

  • 第47旅団は装備が充実しており、優れた暗視装置を活かすために真夜中に南下を開始する予定でしたが、問題が発生し遅れることになりました。その結果、暗視装置の優位性を失った朝に攻撃を開始したため、ロシア軍の砲撃や対戦車ミサイルによる大損害を被ってしまいました。

  • 他の部隊でも状況認識の不足や連携問題など、初歩的なミスが目立ちました。ウクライナ軍は戦力規模を小さくすることで、ミスを最小限に抑えることに成功しました。

  • ウクライナ軍は大規模編成の戦力運用能力や経験に限界があり、自身の強みを再考する必要がありました。新たな戦力運用や砲撃による敵弱体化といった戦術に切り替えることで、戦場での優位性を確保しました。

  • 反攻作戦の成功には時間と消耗のバランス、予備戦力量、戦力管理が重要です。西側諸国はウクライナ軍を支援し、各種弾薬や長距離兵器を提供するべきです。

  • ウクライナへのF-16提供が早ければ、反攻作戦はさらなる成功を収めたかもしれません。しかし、ロシア軍には高度な防空システムがあり、戦闘機だけでは制空権を獲得できないことも指摘されています。

  • ストームシャドウなどの長距離兵器は一部の効果を示していますが、兵站を物理的に遮断するには常に監視と攻撃が必要です。

  • ロシア軍もウクライナ軍の攻勢に対して反撃を行っていますが、この戦略は維持にコストがかかり、ロシア軍自身も消耗しています。

  • ロシア軍はスロヴィキン・ラインの前に出て戦うことが多く、前線部隊の消耗がスロヴィキン・ラインの守備に影響を与える可能性があります。

以上が、ロブ・リー氏とマイケル・コフマン氏による総括の要点です。反攻作戦は初期段階で予定を変更することとなり、ウクライナ軍の作戦スキルにも課題が見つかりました。しかし、ウクライナ軍は慣れ親しんだ防御戦術に戻り、成功を収めました。

ウクライナ軍の反攻作戦はさまざまな要素が絡み合っており、火力管制による兵站遮断が実質的に困難であることが分かりました。アゾフ海への到達やクリミアの大橋の破壊など、より複雑な戦略が求められるかもしれません。

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС Уクラїни

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