生活保護を受ける高齢者の数が増えている現状が問題視されています。年金制度が高齢者の生活を十分に支えているのか、その役割に疑問が投げかけられています。
高齢者の貧困問題
生活保護を受ける高齢者の数は年々増加しており、すでに90万世帯を超え、100万世帯に迫っています。生活保護を受ける世帯の中で高齢者世帯が5割を超えているのです。このままでは、生活保護を受ける高齢者はますます増えることが予想されます。そのため、年金の「最低生活保障」としての役割が問われているのです。
年金制度が維持されていたとしても、生活保護制度の生活扶助費だけでは基本的な生活費を補えない状況であれば、国民は年金制度の存在意義に疑問を抱くでしょう。
低年金に打つ手
低年金の問題には対応が難しいと言えます。基礎年金は現行水準の維持が精一杯かもしれません。問題は目指す水準が明確にされていないことです。基礎年金だけでは老後の生活を十分に保障することができないため、高齢者たちは生活保護に頼ることになるのです。
高齢者の多くが生活保護を受けるような状況になると、保険料を支払う意義が薄れてしまいます。特に国民保険は収入に関係なく一定の負担が求められるため、低所得者ほど負担率が高くなります。さらに、免除を受けると年金額が減少してしまいます。
年金が生活を守れているのか
厚生年金については現役世代の所得代替率が目安として示されていますが、国民年金にはそれがありません。どの水準まで保障するかという議論がなされていないことが大きな問題です。
カナダやデンマークなどと比較しても、日本の基礎年金制度の水準はそれほど差がありません。しかし、これらの国では低所得者への補足的な給付が行われています。日本でも年金生活者支援給付金制度がありますが、その金額は1万円前後です。
平均所得と比較してみると、日本の年金水準はかなり低いと言えます。しかし、高齢者たちは生活をしていかなければなりません。そのためには、生活保護の水準と基礎年金額を連動させることが重要です。最低の生活を保障するという理念に基づいて、基礎年金額を定めるべきです。
住宅補助の必要性
地域によっては生活保護の水準だけでは足りないことがあります。特に都市部で1人暮らしをしている高齢者にとっては、住居確保給付金のような支援が必要です。
政府では厚生年金の範囲を拡大することも検討されています。保険料が免除された場合でも年金額が減ることがない制度などを充実させる必要があります。生活保護受給者は保険料が免除されますが、その代わりに年金額が減額されます。生活保護費に保険料支払いを含めるなどして、年金を満額受け取れるようにするべきです。
払わなかったからもらえない?
保険料を払わなかった人には年金を給付しないという考え方もあります。しかし、この形式的な平等にこだわりすぎると、保険料を収めない人が増える結果となります。そのため、保険料を支払わなくても給付を受けられる制度を広げていくことが必要です。
日本の社会保険の考え方には限界があると言えます。日本は社会保障財源に社会保険料が大きな割合を占めているため、逆進性が生じています。また、保険料を支払わせるために免除にペナルティがついています。そのため、再分配機能には限界があると言えます。最低生活保障は税で考える必要があります。最終的には基礎年金を国庫負担とすることが理想的です。
参照元リンク:日本ニュース24時間