中国が「中華民族の精神」を害す衣装に対し、罰則を導入
ファッションの自由に制約を加えるとして批判の声も
中国では「中華民族の精神」を傷つける衣装に対して罰則を科す法律改正案が提出され、一般市民からの反発を招いていることが、ロイター通信によって報じられました。
報道によれば、中国の法律専門家たちは、この該当条項が恣意的に適用される可能性があるとして、その廃棄を求めて声を上げています。
中国華東政法大学の憲法学者、童之偉氏は、現地のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」で、「中華民族の精神を決めるためには誰がどの手続きを実施するのか、また中華民族の感情を決めるためには誰がどの手続きを実施するのか」と指摘しました。
童氏は、「もしも全国人民代表大会(全人代)常務委員会が現行の改正案通り該当条項を採択するなら、関連機関の首長の考えに基づいて人々を逮捕し有罪判決を下すことになり、深刻な被害が発生する恐れがある」と深く懸念しています。なお、全人代は中国の立法機関です。
この法律改正案に先立ち、先週中国当局は「治安管理処罰法」改正草案を発表し、市民の意見を募集することが明らかになりました。
この法律改正案では、「公共の場で中華民族の精神を傷つけて感情を害する衣装や表現をする行為」「中華民族の精神を傷つけて感情を害する物品や文章を製作・伝播・流布する行為」などが違法行為と明確にされています。
該当行為には、最大で10日から15日の拘留および5,000人民元(約10万円)以下の罰金が科せられることになります。
しかし、「中華民族精神を傷つける衣装」や「中華民族の感情を害する文」の具体的な定義については議論が交わされています。
この法律改正案が発表されると、法学者やブロガーたちはソーシャルメディアなどを通じて、該当条項の廃棄を求め、市民にも意見を募集していると伝えられています。なお、全人代のホームページには、約39,000件の意見が寄せられたとのことです。
この法律改正案は、中国の習近平国家主席の権威主義的な統治や民族主義への懸念が高まる中で提出されたものと指摘されています。
BBC放送も、「この法律改正案が中国で論争を引き起こした」とし、「この法律が実施されれば、有罪判決を受けた者は罰金刑や懲役刑に処せられますが、具体的に何が違法なのかまだ明確にされていない」と報じています。
昨年8月には、江蘇省蘇州市で日本の着物を着た女性が写真を撮っていたところ、周りの人々の通報により警察に逮捕されるという事件が起きました。また、今年2月には、中国人女性が雲南省大理市の観光地に着物を着て入場しようとしましたが、警備員に制止されたという報告もありました。
一部では、この法律改正案が福島第1原発の汚染水放出をきっかけに反日感情を煽る狙いがあるとの解釈も出ています。
ある社会評論家は、「着物を着ることで中華民族の感情を傷つけ、日本の食べ物を口にすることで中華民族の精神を危険にさらすのでしょうか」と指摘しています。
この記事のソースリンクはこちら: 日本ニュース24時間
※本記事の内容は、Yahooニュースから引用しています。