ジャニーズ事務所の性加害問題を追及「知っていた」と音楽系企業が発表、86万円の寄付も公表する

音楽企業FRAGMENTの代表、対馬芳昭氏が性加害問題に関して声明を発表

ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏による性加害問題に対し、音楽系企業FRAGMENTの対馬芳昭代表がnoteで声明を発表しました。対馬氏はジャニー氏による性加害問題について「『知っていた』と答えるならば、嘘偽りなくそう認めます」と明言し、これまで同社との仕事によって得られた86万円を全額寄付すると述べました。

ジャニーズ事務所との仕事の詳細と営業利益について

対馬氏によれば、ジャニーズ事務所とFRAGMENTは2014年から約9年間にわたり不定期に仕事をしてきました。同社の営業利益は累計で約86万円に上るとのことです。共演はテレビやラジオで行われていましたが、対価はツアーバンドや楽曲アレンジに対するものであり、作詞や作曲、プロデューサー印税は存在しなかったと述べました。

彼の立場からの性加害問題への真摯な対応と思い

対馬氏はジャニー氏による性加害問題について、「嘘偽りなく答えるならば『知っていた』と言わざるを得ません」と明言しました。彼はジャニー氏とは会ったことも性加害の現場を見たこともないとしながらも、ネットなどを通じて過去に多くの人々が加害を訴えていたことを把握していたと述べました。

その上で、ジャニーズ事務所の記者会見に触れ、「性加害の上に成り立っていた会社の繁栄の一部を担った」「弊社の繁栄の一部もジャニーズ事務所からの売上である」「被害を訴えている方々がいるのにも関わらず利益を優先した」という現実に向き合う必要性を感じたと述べました。

また、対馬氏は次のように述べました。「仕事の現場で関係者に『噂は本当ですか?』と問うことはできない…あくまで噂だと思っていた…と言ってしまうと、過去の自分と同じように逃げてしまいかねません。クラスでいじめの噂を聞いているけれど、それを誰にも報告せずに黙って見ていることは、結果として加担していることになります。もちろん子供であれば恐怖からそのような行動を取れなかったということはあると思いますが、大人である私は加担した側にいたということを認識すべきだと考えています」。

ジャニーズ事務所からの売上で繁栄した会社を問題視し、対馬氏は寄付を行う

さらに対馬氏は、「自分の利益や立場よりも抵抗できない子供たちを守ることを最優先に考える」「強者の側に立って弱者の声を押し殺すという構造を改善する」ために、個々人が当事者意識を持つことが必要だと強調し、86万円を子供の虐待や貧困を支援する団体に寄付することを公表しました。なお、「対馬氏の寄付は彼自身の判断に基づくものであり、他の人に同じ行動を促しているわけではありません」とも補足しています。

対馬氏は「長い間、被害に遭った方々の声を無視し、利益を優先してしまったことについて、ここで謝罪いたします。過去の自分が自己防衛を優先したことを、非常に恥ずかしく思います」と述べました。そして彼は今後について、「子供に対する性的搾取、性的虐待、マインドコントロール、グルーミングによって繁栄するような構造を問題として認識し、適切な対応を取るよう自分自身に言い聞かせる必要があると感じています。また、自分の行動を省みて加害者にならないよう心に留めていきたいと思います」と語っています。